ヤンデレ女子に首ったけ
あいむ
ルート1
「
その日の放課後、俺はクラスメイトに遊びに誘われた。
「お~、行く行く。」
そう易々と返事する俺をじーっと見つめる視線が一つ。
両思いだと思ってはいる。だけど、まだ付き合ってはいない。
彼女のその視線の意味も考えないまま、俺はクラスメイトと教室を後にした。
いざカラオケボックスについてみると、男子3人女子3人程度の集まりだった。
「新井くん!これ一緒に歌おうよ!」
「あ、これ?うん、いいよ。」
池田さんに誘われ安請け合いしてると、男友達の佐々木が耳打ちしてくる。
「池田さんとなんてずるいぞ。」
「ずるいってなんだよ。誘われたんだからいいだろ。」
佐々木は池田さんを狙っているらしい。
「ちぇっ。お前好きなやついるくせに。」
「関係ないだろ~!」
「新井くん!次私たちの番だよ。」
「あ、うん。」
池田さんに声を掛けられマイクを受け取りデュエットを歌う。
その時、微かに刺すような視線を感じた。
視線を感じたドアの方へ眼を向けてもそこには誰もいない。
不思議に感じながら歌い終え、次の人にマイクを渡した。
その後もカラオケは盛り上がり、みんなで声がガラガラになるまでたくさん歌った。
夕方になり、みんなでカラオケボックスを出る。
「あ~!楽しかった~!」
「みんな、また明日な~!」
「また明日~!」
「じゃあね~!」
それぞれに声を掛け合いその場で解散する。
俺も自宅へと帰路についた。
「楽しかったなぁ~。」
そう呟きながら帰る道、また微かに刺すような視線を感じる。
視線を感じた後ろの方へ眼をやってもそこには誰もいない。
「…気のせいか。」
また前を見て歩き始めたその時、後ろから小さな声が聞こえた。
「
その声に振り向く。
そこに立っていたのは、叶井さんだった。
「叶井さん…?」
ちょうど逆光になっていて叶井さんの表情は分からない。
「なんでなの?」
その声は震えているように感じた。
「え?」
「なんで、他の女の子と遊びに行くの?」
怒りをたたえたような声音でじりじりとにじり寄ってくるように近づいてくる。
「隆司くんは私のなのに…」
答える間もなく叶井さんはそう呟く。
「どうして?ねえ、どうして?他の女の子とカラオケなんて行くの?」
その手には、鈍く光るものが持たれていた。
「ダメだよ、私以外と遊んじゃ…。」
そう言って叶井さんは鈍く光るカッターを俺に向かって振りかざした。
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