あんころ餅



「この状況から推理するに──犯人はあなたです!」


 被疑者は青ざめた顔で私を見ていたが、お構いなしに笑顔で追い詰めていく。


「最初からおかしいと思ったんです。妙に優しいし、何より多弁です。知ってます? 嘘をつく時人は、普段とかけ離れた行動をします。浮気した時と同じように──」


「だから、あれは浮気じゃなくて、ただ相談に乗っていただけで」


「勘違いさせる先輩に問題ありです」


「目が怖いって」


「先輩が私を本気にさせたんですから、責任とってくださいね」


「取るも何も、それしか考えてないし」


「そんなこと言っても、私のあんころ餅を食べた事実は消えませんからね」


 ただ先輩と食べたかったんです。口では言わないけどね。


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