第2話 姉の美希から女性の体について教わる

 男女の行為を見たのは、初めてではなかった。小6の時、夜中にトイレに起きて部屋に戻ろうとすると、両親の部屋からお母さんの苦しそうな声が聞こえてきた。何事かと思い、寝ぼけ眼で部屋をのぞくと、二人が裸で絡み合っていた。お母さんがお尻を突き出して、お父さんがそこに抱き付いていた。以前に犬の交尾を見た事があったが、その様子を思い出していた。子ども心にも見てはいけないものだと分かり、そっとその場を立ち去ったが、その晩は眠れなかった。

 次の日、亜季は姉の美希に質問をすると、それはセックスだと教えてくれた。そして、何のためにするのか、どうやってするのか等々の疑問に、事細かに答えていた。高2の美希はまだ経験がなかったが、周りの友人の話を聞いて耳年増になっていた。


 五歳下の亜季が、両親の行為を見たと言ってきた時にはびっくりした。両親が未だに現役で、そういう事をしているというのもショックだった。しかも、夜の営みをした翌朝には、何事もなかったかのように振舞っているのも信じられなかった。私はまだキスの経験さえもなかったが、性に対する関心は人一倍強く、何も知らない小学生の妹にその知識をひけらかした。少しやり過ぎかなと思ったが、いずれは知る事だし、隠す必要もないだろうと思って教えた。亜季はその時きょとんとしていた。


 亜季は小5で初潮を迎え、その時も姉の美希に女の身体について教わった。精子と卵子が結ばれてなどという難しい話ではなく、女の子の性器に男の子の性器をはめると赤ちゃんができ、その準備のために出血があるという話だった。亜季は分かったような分からないような、唖然として聞いていた。

 小6の時には具体性が増し、恋人や夫婦同士がキスをしたり、セックスをしたりするのだと聞いた。だから、両親がセックスするのは当たり前の行為で、いつか亜季もする事だと教えられた。


 お母さんに聞いても教えてくれない事を、お姉ちゃんは包み隠さず話してくれる。だから、私は性に関して早熟で、同学年の子が知らない事や知らなくてもいい事を知識として持っていた。ただ、自分がそんな事をするのは考えられず、どちらかというと絶対にしたくはないと思った。

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