二百二十一話:占いでガチャの結果は変わらない
『天海防衛ライン』。
有名な大きな神社のある地域だ。
この先は魔物の領域はないらしい。
つまりここが防衛最前線。
最終防衛ラインともいえるか。
「元々は、江戸を鬼門から守護するためなんですよ~」
おっとりとした口調でハクアさんが色々教えてくれる。
今は彼女の天幕にお邪魔していた。
体が弱いらしく何かと人が動いて埃っぽい外は苦手らしい。
気づけば誘われるままに天幕内にいました。
恐ろしい手腕だ。
「昔の人って占い、好きですよね、風水とか。 私も少しできるんです、ご主人様を占いましょうか?」
いえ、結構です。
占い系はまったく信じてないので。
あんなモノでガチャが当たった試しがない。
むしろ物欲センサーに引っかかって引きが悪くなるよね。
「大都市を守ったのは、大規模結界のおかげだって、この前来た人も言っていましたよ~」
「ほお?」
「都市伝説だと思っていましたけど、本当だったんですね~」
大丈夫かな、この人?
悪徳商法とか霊感商法にすぐ騙されそうなんだが。
「がるる……!」
番犬がいるから大丈夫かな?
俺とハクアさんが楽しくお喋りするのを横でロリ巨乳が睨んでいる。
なんだか警戒されているようである。
ピンクというかピンクアッシュの髪。
常に怒っているような表情でパンク感もある。
ミディアムウルフヘアーでちょっと外ハネしている。
幼く見えるが実は年上なのでは?
「アマネちゃんはいつもこうですから、気にしないでくださいね」
「あんたがすぐ騙されそうになるからでしょ!?」
仲いいですね。
『デコボココンビ』と言われるのもわかる。
お笑いコンビっぽい。
「あははっ、楽しかったぁ! 結構、強い人、多いよ~ここ!」
「戦闘狂……」
拠点の人たちと模擬戦闘をこなしてきたツインテ。
アマネさんとの戦闘を見ていた人が何人か挑んできたらしい。
世の中変わった人は多いようだ。
「……都市の方からも助っ人で来てくれてるから」
「そうなんだぁ」
「というか、アナタ強すぎよ……」
「ベルゼ君のほうが強いけどね?」
巨壁の防衛ラインは続いており、ゴブリンの侵攻も防いでいるらしい。
「物資補給に人員の管理など、都市の方で行ってくれています」
「まあ、魔石とか素材は渡してるけどね。 研究するんだってさ」
意外と都市は機能してるんだな。
あまりにも戦況が悪くて人類なんてほとんど絶滅してるかと思ってた。
俺たちが孤立無援だっただけか。
というか周囲に魔物の支配地域多すぎじゃない? うちの学校。
誰か呪われているのか?
「それで? 君たち何者なの? どこから来たの?」
ハクアさんとは対称的にせっかちに話をすすめるアマネさん。
さっきまでバチバチにやり合ってたのに、もう仲良くなったツインテが答えていく。 なんだよ、拳を交えたら友達的なアレか? 俺は大抵怖がられて避けられてしまうのに、何が違うっていうんだい?
「え? 東雲市のほうから来たんだ? あんなに遠くから……ああ、『空飛ぶバイク』、か」
アマネさんが俺をジロっと見つめ、「たしかに……」と何か納得している。
なんだろうね?
「それで何しに来たの?」
「武者修行デート?」
「魂魄集めデート……?」
いや、デートではないよね?
拡大する『万軍の不死王支配地域』の調査と別地域の勢力の確認。
黒髪ロング的には困っている地域があれば助けて欲しいような感じだったな。
自分の所でも手一杯なのに、見えもしない他人を心配するのだから人が良いお嬢様である。
「立派な人がいるんですね~」
「そうだよ! 栞ちゃんは立派なんだからっ!」
「あんたはデート気分できたんだろ!?」
◇◆◇
セクシーギャルファッションに身を包む『一ノ瀬 栞』。
ファッションに詳しい友人に神駆の情報を伝えた結果、こんな感じの服だと隣でも似合うんじゃないかな~とお勧めされた物だ。
「少し派手じゃないでしょうか?」
「一ノ瀬様、そちらは少し……解釈違いなのでは?」
「はい?」
優雅なメイドさんはダメ出しをする。
「一ノ瀬様の魅力を出すなら、そちらのお洋服よりもこちらのほうがよろしいかと」
「そうですか?」
ファッションに疎い『一ノ瀬 栞』は美人メイドさんのアドバイスを素直に受ける。
この美人メイドさんは栞のあまりにもブラックな生活環境を皆が心配し、補佐役のメイドさんを付けることになったのだが、本当に万能メイドさんである。
掃除洗濯はもちろん、来客の対応、事務書類の整理までしてくれて、恋愛相談からファッションコーディネートまでこなすのだ。
万能すぎる。
これにより、戦闘指揮、部隊編成、学園内の統率、避難民の管理運営、食糧管理、生産体制の確保、対他地域対策とやることの多い栞にも自由な時間が少しはできた。
自由時間はもっぱら神駆攻略に向けての作戦を万能メイド伊織と練っているのだ。
「セクシーさよりも、一ノ瀬様の清廉さで押したほうがよろしいかと」
「清廉ではありませんよ……?」
「イメージの問題です。 相手がどう思うのか、どう思いたいのかが重要です」
「そういうものですか?」
「そういうものです」
迷いのない返答に栞は微笑む。
「伊織さんがいてくれて助かります」
美人メイドさんはただただ微笑むだけだ。
「どう距離を縮めたら良いのでしょうか?」
「そうですね――――」
紅茶の香りと共に作戦会議は進むのだった。
――――――――――――
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