百三十七話:黒のガチャ試練 決着!
気合ではどうにもならいないこともある。
『黒のガチャ試練 Take101』
ならばどうするか。
「うむ」
試行錯誤だ。
俺は剣士でも武術家でも軍人でもない。
ただただ、ガチャに恵まれた高校生である。
ならばガチャのアイテムを試行錯誤し頼り切るしかない。
『ガチャマスター』に俺はなる!
オォゥ……オオゥ……
まずは武器の選定。
SSRの武器はない。
SRの武器も『ヴォルフライザー』だけ。
Rの武器は結構出たんだが……。
存在感というか、『ヴォルフライザー』の格と比べると一段落ちる。
やはり『ヴォルフライザー』を使うか。
使い慣れてるしね。
次に使えそうなのは、『スペルカード』。
カード名のみで使用できる優れもの。
使い切りだけど、ガチャを回しまくったおかげでいっぱいある。
こういうのって使うのもったいなくて、ついつい温存しちゃうたちなんだよね。
葵みたいにガンガン使いたいぜ。
そして防具はブラックホーンシリーズ。
『ブラックホーンリア』と『ブラックホーンオメガ』、それに『ブラックホーンシャドウ』か。
他にシリーズであるのだろうか?
黒のガチャはブラックホーンシリーズが出やすかったりしたのかな? ガチャのラインナップと排出率を教えてください、お願いします。
ブラックホーンシリーズのSPは使えるようだ。
『千棘のマーマンロード』の時のようにシャドウに乗って奇襲作戦?
うーん、たぶん最初から障壁は展開されているだろうな。
ブラックホーンオメガの強化とブラックホーンリアの疾駆からの『虚空回転斬り』もダメだった。
『エポノセロス』は大破中だし、火力を出すには向かない。
他に使えそうな物は……。
メタルマジックハンド……便利だが火力を出すのには向かないな。
結局6本も出たんだけど?
6本同時に使うとか脳がオーバーヒートしますわ。
衣装アイテム、使い道のわからないポーション類、小物アイテムを除外する。
凄い数だ。
我ながらよくぞここまでガチャを引いたものだ。
ガチャ沼怖い。
まぁ当たりの性能を考えれば、やるしかないんだが。
「手錠か」
ブラックメタリックな手錠。
鎖は長く普通よりも太い。
頑丈そうだ。
「ふむ?」
鍵はついていない。
自分の意思で外すことができる。
と思ったら鍵も生成できた。
「伸びる……」
鎖が伸びる。
シャカカカとマジックのように鎖が無限に伸びる。
そして元の状態に戻せる。
「!」
これか。
閃きと共に、俺は自身の手に手錠を嵌めた。
右の手。
そしてもう片方をヴォルフライザーの持ち手に。
「ふぅぅ……!」
どうも俺は力を溜め込む技は苦手らしい。
だから力の限り、
「――はぁああああああああああああああッッ!!」
足は地を掴み腰を落とし下半身で踏ん張る。
重要な土台だ。
体ごと回ろうかと思ったがこちらの方がしっくりくる。
「あああああああああああああああああああああッッ!!」
鎖を回す右腕に連動するように左腕を漕がす。
まるで指揮を振るかのようにリズミカルに、ダイナミックに鎖を回す。
ヴォルフライザーの奏でる音は限界を超え澄み切っている。
空気を切り裂く音が爆発する。
増幅する遠心力に無限に伸びる鎖。
ブラックホーンオメガのブーストを最大限発揮。
膂力を限界まで引き出す。
肩甲骨を通る青白いラインが
そしてここで死神が玉座から立ち上がった。
(待っていてくれたのか?)
Take100を超えたからだろうか?
理由はわからないがチャンスだ。
死神が中段に必殺の構えを見せる。
『クリムゾンストライク』がくるっ!
100回の死を体験した。
全て同じ、避けれない決定的な死。
だからその漆黒の斬撃が届く前に!
その禍々しい障壁を、突き破るッッ!
「――――らぁああッッ!!」
死神に向かって疾駆する。
ブラックホーンリアの全力展開。
ぶん回していたヴォルフライザーを置き去りにする。
俺の上半身はまるでやり投げの選手のように大きく仰け反る。
手錠の鎖は伸びる。
無限の彼方へと、引き伸ばされる。
「ぬぅあああああああああ!!」
障壁の一歩手前。
大きく踏み込んだ力を下半身の捻りに加え上半身へと伝える。
力の流れを連動するように、青白いラインは狼の疾駆するごとく駆け上る。
全力で鎖を引っ張った。
「――――――――」
爆発音が届くよりも速く。
鎖を元に戻す。
オォ……
フードで見えないはずの死神の顔が見えたきがした。
『
超特大の無限連鎖する衝撃波。
巨大な棘槍のようなソレを合成する。
【
『――――
周囲の空間を歪ませるほどの力の収束。
千棘のマーマンロードの必殺技。
ガチャの力をもって再現してみせる。
そうだ、いつだって模倣してきた。
模倣こそが俺の源流。
圧倒的な力は死神の障壁を打ち砕く!
オォォォォ…………
死神も玉座もまとめて吹き飛ばし壁へと衝突する。
空間を消滅させる勢いでエネルギーが奔流する。
遅れてやってきた爆発音が空間内に響き渡る。
「ッッ!?」
吹き飛ばされないよに両手を前に交差して踏ん張る。
やがてエネルギーの奔流は止み、俺は自分のしでかした結果をみた。
そこは惨状が広がっている。
死神はおろか空間に風穴を開けていた。
見えてはいけない次元の狭間が見えている。
「マジカ」
必殺技は封印決定である。
空間の崩壊が始まると同時、俺は黒い光に包まれた。
◇◆◇
「……お?」
戻った?
辺りを見渡すとどうやら神社の中である。
外は明るく、木実ちゃんの姿はない。
長く苦しい死に戻りの時間は終わったらしい。
良かった。
「……」
『黒のガチャは期間終了の為利用できません』
と、ガチャに表示されている。
終わった……。
どのみち魂魄もほぼ使い切ったところだったしな。
URは引けなかったか。
いや、あの無限の戦いこそURだったのかもしれない。
おかげで必殺技ができた。
まぁあの隔離空間以外で使って大丈夫なのかわからないが……。
残念だけど、仕方がない。
次の排出率UPに向けて魂魄を貯めよう。
ガチャ廃人はめげないのだ。
ガチャがある限り俺はくじけない。
「ん?」
ガチャ画面の右上に赤い!マークが点滅している。
俺は反射でそのマークをタッチした。
『未受領のアイテムが残っています。 受け取りますか?』
まさか……?
俺は当然イエスと念じる。
その瞬間、ガチャ画面から漆黒の光が激しく明滅する。
黒い羽根が辺り埋め尽くさん勢いで舞い散り、どこからか銅鑼の音が聞こえてくる。
黒い光は雷の如く激しい。 目に毒だ。
「イケメンシャム猫さん」
イケメンシャム猫さんの人形がオモチャの剣を構え飛び上がった。
ガチャ画面を一閃。
ポンッ、とどこかコミカルな音と共に黒い粒子が俺の体に入ってくる。
溢れ出た粒子は目の前に形を作っていく。
それは禍々しい形状に紅玉を核にもった大鎌であった。
俺の体を100回真っ二つにした死神の武器である。
>>>UR『クリムゾンデスサイズ』
手に持った瞬間、その武器の名前が浮かんだ。
それはまさにURの神威を持つアイテムであった。
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