百十五話:コスプレイヤー?
朝は魚頭を狩り夕方は野犬を狩り夜はアンデットを狩る。
完璧だ。
24時間戦えますか?
「むりむりむりーー!!」
ミサを背負っていることで奇しくも片手で大剣を使う練習にもなる。
なるべく負担を減らすように、体の軸をズラさないように大剣を振るう。
お手本はツインテの動きだ。
片手で再現できるように特訓あるのみ。
ハンデがあるとより緊張感があっていいぞ。
なるべく負担が減るように、足の運びもスムーズに。
「はぁ……急になんなのよ? もう、説明を期待するだけ無駄ね……」
散らばったドロップアイテムの回収をしながらミサがブツブツ言っている。
たしかに俺に複雑な説明など無理だ。
どうか感じ取ってほしい。この差し迫った状況を。ガチャは待ってくれないのだ。
「……なにか大変なことが起こってるってこと? そんなに焦るほど……」
排出率UPは熱すぎる。
というかURは存在したのか。
このチャンスを逃す手はない。
絶対に、手に入れてみせるぞ。
UR《ウルトラレア》!
「でも何この服? なんでコスプレなの??」
ブラックホーンリアのSP補充を効率化するための実験だ。
黒のガチャのハズレアイテム。
具現化できたコスプレ衣装をミサに渡してみた。
ちなみにセクシーチャイナドレスだ。
側面が紐であみあみのエロイやつだ。
黒のガチャの商品を選んでるやつの趣味だろう。
ソックスの上に着けるよくわからないガーターベルトみたいなのもむっちり感を演出しており大変よろしい。
ドロップアイテムを拾うたびにチラ見えするセクシー下着。
うーむ。
これはSP補充に補正ありなのでは?
「見るなぁーー!」
見られないように抵抗するほうが溜まるね!
◇◆◇
「おおおお! 立派じゃぁ!」
「アマミク様のお社にふさわしい!!」
新しくできた神社にお年寄りのみんなが集まっている。
集会場のようにわいわいと楽しそうに話している。
ほんとうに、みんな元気そうでなによりです。
でもわたしを取り囲むのはどうにかしてほしい。
「ほう? ならどんどんマセキちゅうものを集めれば、アマミク様の衣装を豪華絢爛にできるとな?」
「そうですよ!」
「聞いたな皆の衆。 アマミク様にマセキを捧げるのじゃぁああああ!!」
宮司用の衣装があるとのことで着てみました。
青と白を基調とした不思議な衣装だ。
なんだか私の宮司のイメージとは異なるけど、お年寄りのみんなからは好評のようだ。
「ゲームキャラ、えっちな」
「え゛!?」
そうなのかな?
テニスウェアとそんなに変わらないから気にならないけど……。
下はスカートで上はノースリーブで肩が見えてる。 二の腕で止めるタイプの振袖は手に進むほど大きく広がる。
腰帯から垂れる帯もゆらゆらとしている。
言われてみれば漫画とかのキャラクターっぽいかも?
コスプレイヤーみたい。
「アップグレードには魔石と魔晶石が必要になるみたい! もちろん信仰心も重要だよ」
「私は何をすれば?」
「雪代さんは今まで通りで大丈夫だよ。 布教活動は任せて!」
「布教活動!?」
新領主の服部先輩が張り切っている。
特にやることはないけど、できれば神社のほうに多くいてくれると嬉しいそうだ。
「……」
「どうしたの、葵ちゃん?」
「なんでもない……」
「??」
ちなみに葵ちゃんも巫女服があったので着てみてるよ。
やっぱり青と白で肩がでるタイプ。
袖とスカートがフリルがついてて可愛いね。
魔法少女っぽいから気に入ると思ったけど、私と見比べてなんだか微妙な表情をしているよ。
「格差社会……」
ブツブツと言ってなんだか落ち込んでるみたい。
どうしたの、葵ちゃん?
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