九十一話:閑話:東雲東高校の新七不思議~夜の視聴覚室から変な音が聞こえてくる~ ②


 体操服か。

 日焼けした肌。

 緊張からか僅かに赤らむ頬。

 短いポニテ。

 サイドの髪をいじりながらこちらをうかがうミサ。

 どうしていいかわからずにもじもじしている。

 なんだか興奮してきたぞ。


「どうしたら、いいの?」


 ほんとどうしたらいいんだ?

 童貞コミュ症には難易度高すぎる。

 そもそもなんだこのシチュエーション……。


「そこに手をつく」


「ここ?」


 困惑する俺とミサを、ちびっこ魔法少女が導く。

 それは果たして平気なのだろうか。

 悪い契約にひっかかりそうである。


 机に手をつかされ、足の位置を調整されるミサ。

 うーん。

 これは、足とお尻が強調される。 お仕置きには持って来いのポーズではないだろうか?


「やッ!?」


「!?」


 体操服の短パンが脱がされる。

 しかも中途半端に膝下でとめられた。

 内股のミサが葵に抗議するが、魔法少女は止められない。


「んん゛っ!」


「ここ弱い」


 月明りに照らされる陸上部女子の下半身。

 短パンが脱がされたことで、白と茶色のコントラストがエロスを生みだす。

 魔法少女によって弱点まであらわにされたミサは絶対絶命。


「ふふ」


 葵にすっと撫でられたが、興奮しているのがバレたようだ。

 なんだか今日ムラムラするし、ピチピチの高一男子だししょうがないよね!?

 いっぽミサに近づくとウサギのロゴと目があった。


(……ウサギさんパンツ)


 そういえば、ガチャからお子様パンツがでたことないな。

 すっとお尻に手をやると、ミサの体が震えた。


「んっ」


 いつかのマッサージの時にも思ったが、しなやかで鍛えられた良い筋肉である。

 陸上凄いがんばってたんだな。

 マッサージしたくなる良い肉だ。


「あっ、ちがっ、お尻ダメ……」


 自覚は無かったが、俺は弾力フェチなのだろうか?

 

「ん゛!?」


「特訓」


 葵さんその特訓はまずいです!

 ニヤけ顔の葵が上目遣いで混沌を招く。

 マズイことに今はバトラータキシードが大破中。

 三本ラインのスポーツウェアがあったので拝借していたのだが、これ生地が薄いのだ。

 葵の細い指先が的確に弱点部位を狙う。 

 決して激しくない、ススっと指先だけを這わせるような、魔女のような熟練の技だ。

 いったいどこでこんな技を!?

 処女のクセにっあっーー。


「んっあっああっ」


「む゛ぅ」


「……」


 夜の視聴覚室から声が漏れ出る。

 これは余計に人がより付かなくなりそうだ。 

 ダメだ。

 意識を切り替えないとやられる。

 俺は先ほどまで弄っていたメタルマジックハンドを装備・・した。

 

 そうこれはオモチャではなくて装備品だったのだ。


 Rランク『メタルマジックハンド』。

 装備することで持ち手部分が変化し装備や体に取り付けられる。

 柄部分はしなやかな金属で自在に動く。

 ハンド部分を自在に、それこそ本当の手のような感覚的操作が可能。

 ちなみに感触は脳へとフィードバックされる。

 つまり感触が分かり細かい調整も可能であるということ。


「シン、可愛い」


 いつまでもやられっぱなしだと思うなよ?

 俺はお尻にマジックハンドを装着し尻尾のように動かす。

 ヴォルフガングで狼人化した影響か、尻尾の位置でも違和感なく動かせる。


「にゃ!?」


 背後を取っていた葵の服の中にメタルマジックハンドが侵入した。

 魔女の技のお返しに、こちらもマジックハンドの妙を魅せる!


「っん! んん、シんぅっ、ふぅっ」


 俺の服を掴み顔を背に預ける葵。

 体温と吐息が温かい。

 いかん。

 余計にマズイことに!


 なんだこの状況はッ!?


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