23. 琴乃の誕生日! ~約束~
「どうやったら髪が生えるんでしょうか」
「こ、子供の言ったことだからそんなに気にしなくても……」
薄い頭頂部分が見えて少し悲しい。
「会長はふさふさじゃないですか! 俺より年上なのにおかしくないですか!?」
「特別なケアは何もしてないけどなぁ」
いや、髪は咲いてないんだけど。
「遺伝とかもあるから気にしすぎるなよ。そういうストレスも良くないんじゃないか?」
「くっそぅ! あいつは! あいつは絶対にハゲてたはずなのに!」
「あいつ?」
「
ざけんな! 勝手に仲間にするんじゃねぇ!
俺が生きてたらお前と違ってふさふさのはずだわ!
「
「は、はぁ?」
いつか、こいつと
お前の知ってる
「植毛とかもあるみたいだから」
「うぅ……、本当に考えようかな」
「少しずつにしないと不自然になるから気をつけろよ」
少し、その年相応の男のやり取りが羨ましかった。
※※※
今日は時間が過ぎるのが早いような気がする!
楽しい時間は本当にあっという間だ。
「や、やってくれたわね、あなた……!」
「なんだよ怒った顔して。折角の
「
「はいー! ストップーー! その話はここまで!」
さ、最近の小学生ってませてるんだなぁ……。
そういうことにもう興味しんしんなんだ。
「はぁ……」
「とりあえずその話は置いとく」
「永遠に置いといてくれ」
「なんだか、私、とってもお酒が飲みたい気分」
「お前クソほど弱かったじゃん……。やめといたほうがいいって。そもそも今は未成年だし」
「分かんないじゃん! 今は体が違うから強くなってるかもしれないし」
昔の
顔が真っ赤になって、すぐ笑い上戸になる。
しかもすぐに具合が悪くなるおまけ付きだ!
「……それにしても、お前がちゃんとお姉ちゃんしてるとはなぁ」
「昔は妹なのに、今はお姉ちゃんだよ。笑えるでしょ?」
「笑える」
「昔から面倒見がいいんだから」
それを見て、
「誰かの誕生日のときに、またこうして皆で集まれるといいな」
「ここの全員分やってたら毎月がお祝いになっちゃうよ?」
「いいじゃんそれでも。良いことは何度でもやろうよ」
「ぷっ、確かに」
「そろそろやるか?」
「うん」
「
「ん? どうしたの
みんなと楽しそうに話をしていた
「あぁーーー! またいつの間にか二人っきりになってるし!」
「いや、そうなんだけど、そうじゃなくてさ……」
「なんかさ、
「ううん! そんなことない! こんな楽しい誕生日初めてだよ!」
その様子がとても嬉しい。
「それで、俺たちからの誕生日プレゼントなんだけど……。って、ほとんどは
「誕生日プレゼント?」
「前にも言ったけど、これ一緒に見に行こうよ!」
「なにこれ?」
「みーちゃんのライブのチケット!」
歌手のみーちゃん。
前世ではアイドルで、俺たちが死んでいる間に歌手として大成していた、
チケットを取るのはすごい倍率だったらしいが、
「えぇえええ!? チケット取れたの? すごい!」
「ふふふ、もっと褒め称えなさい」
「すごいすごい!」
というのも……。
「
「毎年?」
「うん、毎年どこかに行こう。喧嘩しちゃうときもあるかもしれないけど、それだけは必ず守るようにしよう。私たち家族が一緒にいるために」
「……」
俺たちは、
みーちゃんライブはあくまで建前で、ただ俺たちは
「やっと、先のことを約束してくれるようになったんだね」
「先のこと?」
「
泣いてはいるが、
「よーーし! みーちゃんライブまでにお金を貯めないと!」
「あっ! そのチケットは私が預かっておくから! なくしたら大変!」
「……」
「な、なによ! そんな目をして!」
「私の誕生日プレゼントなのに……」
「じゃ、じゃあいいけど絶対になくさないでよ! 取るの本当に大変だったんだから!」
「大丈夫! ずっと仏壇に飾っておくから!」
「仏壇!?」
お、俺たちの仏壇に俺たちからの誕生日プレゼントが飾られるらしい。確かにそこならなくすことはないと思うけどさ!
(ふぅ……)
これで
「毎年だからね! 絶対に絶対に約束だからね!」
(約束か……)
俺も次に向けて気張らないといけないな……!
「
「お願い?」
「明日の放課後、屋上に来てくれない!? 二人に伝えたいことがあるんだ!」
「伝えたいこと?」
俺の言葉に二人がきょとんとした顔をしていた。
「
「ど、どうした!?」
「明日は学校休みだよ」
早速、決めるところで決められなかった。
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