19. 古藤家のドタバタ家族会議! 後編
「ぎ、議長! その話はあまりにも危険ではないでしょうか!?」
「けど、ちゃんと聞いておきたいじゃん。私たちが二人がいる前で」
「ぐっ……!」
確かにその話題は今まであえて触れないようにしていた……。
けど、俺は
どうしよう……。
なんて答えるのが正解なのだろうか。
(……)
いや、迷っている場合ではない!
俺は家族とちゃんと向き合うと決めたのだ!
こうなったら、覚悟を決めて、二人に自分の胸中を素直に話すしかない!
「どっちもだよ……!
「と、容疑者は申しておりますのでこれからハーレムについて話し合いたいと思います!」
「おい!」
かなり緊張してそのことを言ったのに、
「お、お前ってやつは……!」
「そんなこと言うのは分かってたし」
※※※
「はいはーい! ハーレムの定義って何でしょうか!?」
娘から聞くハーレムという言葉は、親としては複雑でしかない。
「ハーレムっていうのはね、ハーレムっていうのはね……。なんだっけ?」
コテン
「
「自分で調べなさい、今は携帯があるでしょう。」
「分かった」
俺がそう言うと、
何が悲しくて嫁と娘の前でハーレムを説明しないといけないのか……。
「ふむふむ、一人の男性が複数の女性から恋愛対象とされぐふふとなっている状態のことです……。なるほどなるほど」
「全然違う!」
「何が違うの?」
「ぐふふになっている状態が肝じゃないんだよ! ハーレムっていうのは誰も不幸にならないっていうのが重要なんだ! だってそうだろう? 複数ヒロインものだと、どうしても負けヒロインというのが出てくる! ぽっと出の転校生に幼馴染が負けるとか俺は絶対に耐えられない! 今までの二人で積み重ねてきた年月は一体なんだったんだ! 俺は嫌だ! そんなの悲しくて見ていられない! せめて漫画の中くらい優しい世界がいいじゃないか! だったらせめてハーレムでみんなを幸せにするべきだと思うんだ!」
「……」
俺の言葉に、
し、しまった! つい熱が入ってしまった!
「そういうところはお兄ちゃんと似てるね」
「
やめろ!
そんなどうしようもない目で俺のことを見るな!
「言っておくけど漫画の話だからな!」
「
「全部」
「
「えっ?」
わ、分かるの?
まさか俺の遺産が、娘にそんな教育をほどこしていたことになるとは……。
「だ、誰も嫌なんて言ってないでしょう!」
「えー! だって
「してない! 全然してない! そもそも
「私は
「嘘だーー! 絶対に我慢できないでぐいぐい行くじゃん!」
「うっ」
ま、漫画の話をしてたんだよね?
いつの間にか現実メインで話が進んでいるような……。
「ほ、本当に好きな人ならその人のこと独占したいって思うのが普通じゃないかしら!?」
急に
「好きな人のこと全部受け入れるのが愛だと思う!」
親としては絶対に聞きたくない言葉が娘から飛び出てきた。
「あなたが言っても全然説得力がない! どうせすぐにぐいぐいになるくせに! 人一番独占欲強いじゃん! キスの次は一体何をするつもりなの!」
「
「な、何もできないですってーー!? あなたは私から生まれてきたんですけどーーー!?」
ま、また始まってしまった。
何回目の対決なんだこれ……。
「だ、大体、あなたと
「そんなこと言ったら、
よーーし! 解散だ解散!
会話が危険な領域になってきたので、俺はここで撤退することにします!
第一回、古藤家家族会議! これにて終了!
二人に見つからないように、ゆっくり動いてこの場を退出しよう!
「ちょっとあなた!」
「
……と思っていたのだが、あっさり二人に見つかってしまった。
「「結局、どっちが好きなの!?」」
またふりだしに戻ってしまった……。
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