第16話 『第2回は恐怖だね』 その3


 音楽は、直接宇宙をイメージさせるような、名高い開始部を持ちます。


 とっても難しいのに、上手な高校生のブラスバンド部なら、軽々と演奏してしまいます。


 恐るべきことです。


 やましんなんかは、震えが来ます。


 そうして、中間部では、誰もが知っているその旋律が現れます。


 ホルスト先生は、自分の作品のなかで、『惑星』ばかりが話題になるのが、あまりお気に入りではなかったとも。


 それでも、ホルスト先生自身の指揮による録音も残っているし、最も人気がある、20世紀の作品です。


 作曲にあたっては、勤務先の学校が、全面協力していたようです。


 ただし、これは、実は宇宙の音楽ではなく、占星術に基本を置いているようであります。


 なんて、話しもしたかったけど、また、ホルスト先生指揮の録音も、ちょっと鳴らしたかったけど、幸子さんから、NG.されました。


 そこに、宇宙戦争となあ?


 スタジオ(やましんちの狭い応接間)のテレビでも、はでに困惑したらしい、アナウンサーさまが、原稿を縦にしたり横にしたりしながら、なにやら話しています。


 また、宇宙ステーションからの映像も放送されました。


 巨大な、真っ黒な『うに』みたいな宇宙船が、数えきれないくらいに、地球を取り囲んでいるようです。


 しかし、ぼくたちの放送は、止められません。


 通りすがりの宇宙人Aさんが言います。


 『ま、本気になったるんば、我々の敵ではないやらね。やましんさん、ちょっとんやだけ、我々の存在を、ほのめかめか、して、めかしてくらさい。』


 『地獄放送からの、原稿がきましたよ。』


 やましんは、幸子さんからの、小さなメモ書きを渡されました。


 『第1曲を次に流しなさいませ。通りすがりの宇宙人さんを、スタッフとして、ちらと紹介しなさいませ。ヘレナ。やましんさん、大好きよ❤️』


 

          🛸


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る