第9話 エピローグ

聖女レイラは1か月後自殺をした。


恥を忍んで田舎の教会に行った結果、「梅毒」に「淋病」などおびただしい性病が解った。



「もう治療の方法はありません、しかし聖女ともあろうものが随分ふしだらな事をした物ですね」



それがその教会の神父の言葉だった。


その目にはもう、聖女だった彼女への尊敬の念は感じられなかった。


ただ汚い様な者を見る侮蔑の目だった。


男からは、淫乱な女を見るような目で見られ、女からは侮蔑の目を向けられる。


その生活に彼女は耐えられなかった。





王は、聖女が抜けた穴を埋めるために、特級治療師を複数集めなければならない事になった。


特級治療師の一人は自国に居た為簡単に呼べたが、他の者は各国に散らばっていた。


情報を集める為に盗賊ギルドを頼ったが..


「聖女レイラが王自らが贖罪の意味で下賜した物を盗もうとした事に対する責任をとるまでは動かない」


と言われる事になる、教会からは


「貴重な聖女のスキルが盗賊ギルドによって失われた、その事について王はどうお考えか?」


と言われ、板挟みになる。


その対応に追われるなか、勇者が傷物にされた。


結果、「勇者召喚国、魔王討伐国」の立場を追われる事になる。


結局、魔族達に対抗するすべはなく3年後魔族の進行により国が滅んだ。




勇者タケルは治療により命は取り留め助かった物の喉が壊されていた。


そしてそれだけは幾ら治療しても治らなかった。


喉を潰されたタケルは、詠唱が出来ない為、大きな勇者特有の呪文が使えなかった。


一般の魔法騎士レベルで聖魔法騎士にすら届かないその実力では魔族とは到底戦えると思えなかった。


その結果、「勇者を破棄」ただの騎士として王都の警備を任せられた。


国が亡ぶまでの3年もの間に彼は一度も交戦する事無く雑務に追われた。


国が亡ぶ時に国外に逃げ出そうとしたがあっけなく魔族に捕まり殺された。


その際にはだれも、彼が勇者だったとは気が付かなかった。



日本に帰ってきたタケルは、家族が最愛の妹も含み自殺した事により親戚の家で引きとられる。


そして籠り状態になった。


ある日、親族がタケルの部屋を除くと、首をつって死んでいた。




魔族の進行が進むと「盗賊ギルドのメンバー」はさっさと他国に逃げ出した。


そこで裏で魔族とつながり、強くたくましく生きた。





そして、俺は、仲間の事を思い出しながら、


「本当の意味で強く生きよう」と思った。


生きる事は戦いだ、手を汚す事や仲間を守る事..生き方に覚悟を持てば何も怖くない。



空を見ながら懐かしい仲間を思い出しながら、薄汚く強く生きて行こうそう思った。



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