第4話『入社』

翌朝、アラームで目を覚ます。

今日は初出勤の日だ、真新しいスーツに身を包み、髪をセットする。

職場は二駅先、満員電車が嫌だったのでなるべく近場に住んだ、家賃は地元に比べてすごく高いが、やっていけないことはない、はず。


職場に着くと総務課へ挨拶、同期入社が自分を含めて三人、一人は大学までラグビーをやってという田中、もう一人は斎藤さんという女性、専門卒なので二十歳らしい。僕は高卒なので十八歳。一番年下だ。

三人、会議室へ案内され座って待つ間、軽く自己紹介が行われる。

「田中です、趣味はスポーツ観戦、やるのも好きで、大学までラグビーをやってました、地元は静岡です、宜しく。」

「斎藤です、短大卒で、趣味は特にないかな、実家がお店をやっているのでそこの手伝いをよくしてます、宜しくお願いします。」

「西野です、趣味は読書です、地元は東京なんですが、離島なので本土には詳しくありません。高卒なので一番年下ですが、皆さんの足を引っ張らないように頑張ります、宜しくお願いします。」

「西野は高卒なんだ、ここの入社試験難しくなかった?」

「難しかったです。」

「コネとか?」

「田中さん、失礼ですよ。」

「あ、すまん」

田中さんも悪気はないのだろう、確かにこの会社は倍率高く、入社試験の時も明らかに周りは大学生しかいなかった。

「斎藤さんありがとうございます、田中さんも気にしないで下さい。僕も受かった時には何度も内定通知を見直しましたし、人事に電話でも確認しましたから」

「いや、すまん、無神経だった。しかし凄いな、自分が高卒の時だったら受かる気がしないほどの試験だったし、西野は凄いやつなんだな。」

「人事に聞いたときに、僕の持っている知識が役に立つと言われました。」

「知識?」

斎藤さんが小首を傾げながら僕を見る、可愛らしい顔立ちしていて、そんな仕草をされたら、惚れて舞うやろ!と心の中で叫び、気持ちを落ち着かせる。

「遊び道具が母の古いパソコンと父の本だったんですよ、自分は鍵っ子だったんで、両親が自分が寝た後に帰って来るので、一人で居るときは父の本棚から本を読んで、母のもう使ってないパソコンで遊んでたんです。エクセルで表を作ったり、ドット調にして絵を書いたりして遊んでて、そのうちネットを使わせてもらえるようになって、無料でできるプログラミングとかやりだして、パソコンの知識がついたので、多分その知識を買ってもらえたんだと思います。」

「やっぱり凄いんだな、感心する、わからないことが出てきたときは西野を頼る、よろしく頼む。」

「あっ、わたしも。」

二人はそういい、三人で談笑しているところに担当者が現れる。

「総務課長の大竹です、さっそく三人、仲良くなったんだな、同期は大事にしろよ~。さて、これから二日間は私のほうから会社の説明や案内をさせてもらいます、その後、各々の部署へ配属となります。田中君は営業課、斎藤さんは総務課、西野君は情報管理課になります。」

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