怖くなる間違い探し
仲仁へび(旧:離久)
第1話
私には双子の子供がいた。
一人は活発で、よく喋る子だ。名前はトオル。
もう一人は大人しくて、静かな子。名前はシズル。
けれど、ある時事故で片方を失ってしまった。
よく喋る双子の上の子のトオルが、いなくなってしまった。
私は悲しみにくれたけど、のこされた子供と生きていかなければならないから、心を強く持つ事にした。
けれど、悲しみを乗り越えた私は、今度は恐怖している。
生き残った下の子のシズル。
大人しいはずのシズルが、友達と一緒にいる時によく喋って、よく遊んでいた。
その姿はまるでトオルのようだった。
まさか、と思う。
本当はシズルが死んでいた?
トオルがシズルになりかわっているのだとしたら?
それこそ、そんなまさかだと思た。
家の中と外で性格が違う事はよくある事。
親に向ける顔と友達に向ける顔が違う事はよくある事だ。
だけど、トオルはシズルを羨んでいた。
トオルは一人で何でもできた。だから手がかからなくてたびたび放置していた。
その反面シズルは手がかかったから。
私はずっとシズルにばかりにかまっていた。
トオルは嫉妬していたのかもしれない。
それで、入れ替わったとか?
どうか気のせいであってほしい。
食べ物の食べる順番とか、服を着るくせとか、喋り方とか、寝る時の寝言とか。
シズルではない間違い探しをしていくうちに、その恐怖心は膨らんでいった。
私は今日も帰って来た双子の、トオルかもしれないシズルを見て、最悪の可能性に恐怖していた。
怖くなる間違い探し 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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