女神

やまとやじろべえ

第1話 女神 (1 ) 出会い

出会い


自ら命を断とうとした女子高校生二人と知り合った。

一緒になっても良いと思った女に出ていかれ、気持ちが沈んでいた時だった。その二人の為に生きていこうと思った。

思い起こせば、初恋、初体験、自分の人生のスタートの相手は、男の娘。羽ばたいて飛び立って行った。その男の娘を見届けた後に知り合った内気で怖がりの女性。

その女性と将来は一緒になろうと、自身の事を話す為、出生の秘密を調べた。

生みの親、育ての親がいる。それぞれには感謝しか思い浮かばない。

俺に出来る事は、何か? 人の為に何かをする事。それも自分の方法で。


お前たちは女神だ。

俺が、守るべき、、、女神たちだ。




女神 (1)

第一部

別れ と 出会い


「一緒に居られない。……私、出て行く。」

「……何で?……理由わけ 、教えて、、、。」

「一人で生きてくの。」

「俺と一緒じゃ、ダメなのか?」

「……ダメ、、、」

「……俺、、、お前と一緒になりたい、、、」

「……ダメ、、、一緒にはなれない、、、」

「……イヤだ、、、」

「……さようなら、、、、」

「……」


渡嘉敷 雄大は、一人になった。

足立区綾瀬、東京武道館の近く、2LDKのマンションに一人残された。

香織と同棲していた築35年の賃貸マンション。


家具は少ない。香織が「色々置くの、好きじゃない。」と言うミニマリストだったので買わなかった。

考えてみれば、香織はこうなる事を予定していたんだと思う。


一緒に暮らし始めて半年。

結婚を申し込む │心算つもり だったが、半年では短すぎたのか、急ぎ過ぎたのか、もっと分かり合えばよかったのか、、、


10日後、俺の仕事中に香織の荷物は運ばれていた。郵便受けにカギの入った封筒。


「さようなら 香織」無理やり、そう思う事にしたかったが、、、、やっぱ、無理だ。


出会い


11月、新宿のライブハウスへ行った。

気になっていた女性シンガーのライブに来た。

YouTube Musicで勝手に流れてきた曲の歌詞が気になった。


”貴方に嫌われようと してみたの

 いつもよりも明るい笑顔を周りに振りまき

 普段話すよりわざと高くした声で誰かと話す

 貴方をまっすぐ見なくなったのも

 知らない人との愛の無い夜を重ねてたのも

 そう、全ては貴方に嫌われる為


嫌いになって 忘れてください

  顔も見たくないと 思われるのが 私の願い”


コンビニでビールでも買おう。

う~ん、やっぱりカクテルにしよう。3パーセントのアイスティーソーダ。梅酒も買おう。

つまみはカラアゲ君を二つ。レッドと海苔。ソーセージも買っておこう。

コンビニの店内を回っていると、女の子の二人連れ。ライブハウスにも居た子達。

「あっ!。さっきはごめんなさい。痛くないですか?」大きな子の方が俺に気付き、話しかけてきた。

「痛い。骨が折れてると思う。歩けそうにない。すまんが霊柩車を呼んでくれ」

「……何言ってんか判んな~い。」白けきった表情の顔。

「突っ込みどころを作ったつもりなんだが、ダメだったか、、、」

「ガハハハっ、変な人だっ。」大きな子が小さな子へ向かって笑いながら言う。

「失礼なやつだ。許してやろうとしてたのに許してやんね。」

「あ、ごめんなさい。だって歩いてるもん。」

「あはははっ、霊柩車もツッコメって。」

「……普通に救急車と間違えたと思って黙ってたのに、、、。やっぱっ、変だ」

「そうだ。変な奴だ。関わるな。……じゃあな。」

薄笑いを浮かべながらレジへ向かう。

【大学生かな?。二人とも、お世辞にも可愛いとは言えないけど、10年経つと良い女にはなりそうだがな。】

「あと、カラアゲ君、ホットと海苔。」店員に伝えたと同時に、

「もう二つづつ追加で!、ホットと海苔。」後ろから女の声。

振り返り見ると、炭酸水を持ちながら笑みを浮かべてる二人の女の子。

「……三つづつ。」店員に告げる。「これも~。」と同時に炭酸水が店員の前に2本置かれた。

支払いを済ませ、3人でコンビニを出る。入った時は一人だったはず。

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