告白
「お誕生日おめでとう、愛ちゃん」
そう言って、小さな箱に入ったイヤリングを渡してくれた。
「覚えてくれてたの?」
「出会ってから、7回誕生日見てきたから」
「十夢…」
「俺が、愛ちゃんの傍で愛ちゃんを支えたい。いつからか急にそう思うようになった。純さんと付き合ってる愛ちゃんをまるごと受け入れるから…。考えてくれないかな?」
そう言われたのだった。
そして、あれから8か月…。
私は、いまだに十夢に何の返事もしていなかった。
「愛ちゃん、はい」
コンビニの駐車場に車を停めた十夢は、ハンカチを差し出してくれていた。
「ありがとう」
「試写会どうだった?」
「keikoさんが、子供が産まれた話に花が咲いてた。妻には、感謝ですって純笑ってた」
ポロポロ涙が流れてくる。
「ごめんね、コンビニいつも寄ってもらうのにこんな話して」
十夢は、私を抱き締めた。
「今日は、泊まっていい?」
「うん」
私は、十夢にそう言ってしまった。
「お酒買おうか?」
「うん」
車を降りると、もうしなくていいのに十夢は手を繋いでくれていた。
こんな風に、人目を気にせず堂々と手を繋げるだけで幸せだった。
「これ、美味しそう」
ピーチ味のチューハイを指差した。
「買おうか?」
十夢は、かごにいれてくれる。
ビールとかおつまみとか珈琲とか入れて、レジに並んだ。
鞄から財布を取り出そうとする私の手を止めた。
十夢は、お会計を払って袋を持った。
「帰ろうか」
「うん」
手を繋いで、歩いた。
車に乗り込んで、私のマンションの下に車を停めた。
「コインパーキングに停めてくるね」
「505だから」
「わかった」
十夢は、近くのコインパーキングに車を停めに行った。
私は、家の鍵を開けて入る。
純は、この家に一度も来た事がない。
いや、男の人を入れるのは十夢が初めてだった。
ピンポーン
インターホンが鳴った。
開けると十夢が立っていた。
「どうぞ」
「お邪魔します」
そう言って、十夢が上がってきた。
「ソファー座って、グラスだすから」
「うん」
十夢は、ソファーに座った。
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