知ってる人

「家が決まったら、十夢とむを来させるから」


「わかった」


私と純の関係を知っている人物が一人だけいる。


純の従兄弟の柏木十夢かしわぎとむ27歳。


十夢は、純のお陰で7年前、アパレルブランドを立ち上げた。


一つの条件と引き換えに…。


「もうすぐ、帰るね」


「お風呂に入ろうか?」


「うん」


純は、またタオルをいれてきた。


私は、それを挟みながらお風呂場に行った。


「22時には、十夢が来るから」


「うん」


十夢は、影武者の役割をしていた。


私は、いつか十夢と結婚させられるのではないだろうか?


湯船にお湯が入った。


「入ろうか?」


「うん」


私は、純を捨てられない。


純は、ずっと私の身体に触れてる。


「いつまで、触れてるの?」


「一ヶ月分」


「本当に、愛してくれてるんだね」


「当たり前だ」


純は、湯船からあがると私の事を必ず洗ってくれるのだ。


まるで、自分の手に覚えさせるように…。


頭の先から、足先まで綺麗に洗われた。


私もお返しするのだ。


「これ、また」


「ごめん」


私は、純のそれを口に含んだ。


終わると私にもお返ししてくる。


「もう、これ以上すると離れられなくなる」


そう言ってくる。


私は、純と二人でお互いのそこを丁寧に洗ってから上がった。


丁寧に体を拭かれ、頭を乾かされる。


服を着せられる。


純は、タオルを回収してゴミ袋に纏める。


「化粧しとく」


「うん」


私は、絶対に純以外の男に素っぴんを見せてはいけないという決まりをつけられていた。


「十夢がきた」


メッセージを見て、純はホテルの鍵をあける。


「はい、これ」


「わかりました」


十夢は、ゴミ袋を受け取っていた。


「愛、また来月」


「うん」


「愛してるよ」


「私も、愛してる」


十夢がいる前で、舌を絡ませる濃厚なキスを純はいつもするのだ。


「じゃあ、気を付けて!十夢、よろしく」


「はいよ!純さん」


「またね、純」


私と十夢は、ホテルの部屋を出て行った。


「車、停めてるから」


「うん」


影武者らしく、十夢は手を握りしめた。


私と十夢は、並んで歩く。


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