第38話 自己領域拡張システム

『まさか、あの石ころと紙が1200万ローグになるなんてなぁ。探索者ってのは分からないもんだ』


 買取所にモンスターの素材と一緒に遺物を売却しに行ったロアは、その日は売却金を受け取らずすぐに帰着した。遺物の鑑定に、それなりの時間を要すると聞かされたためだ。鑑定料については、遺物の買取額から差し引かれると告げられた。その際に鑑定の具体的な料金と、鑑定をせずに売った場合についても尋ねた。法外な鑑定料を支払うことになるのは嫌だったからだ。しかし特に危惧するようなことはなかった。鑑定は遺物に適正価値を付ける為の行いであり、過大な料金を請求することはないとの説明を受けた。なんなら専門の鑑定屋まで紹介された。こちらの方が、僅かであるが鑑定料を抑えられるという注釈を受けてだ。流石にそこまで疑い深いつもりもないので、鑑定は協会側に一任にした。それと鑑定を通さない場合であるが、正式な鑑定を受けないと、買取は受け付けるが二束三文にしかならない可能性があるとのことだった。ロアはそれを聞き、手に入れた物はちゃんと鑑定してから売ろうと決めた。

 ちなみに集めた他の遺物は全部合わせて二万ローグ程度にしかならなかった。タダで手に入ったと思えば悪くはないが、費やした時間と労力を考えれば残念と言わざるを得ない結果に終わった。



 宿に戻ったロアは、就寝前に自分の口座を確認した。鑑定が終わり次第、すぐに振り込まれると聞いていたので、その日のうちに入金されているかと思ったのだ。

 寝る前になんとなく気になってそれを確認したロアであるが、起動した画面に表示された見たこともない桁の金額に思わず身を固めた。何がどうしてそうなったのか、その時は本気で理解できなかった。そうして数十秒固まって、ようやく冷静になった頭で数字を声に出して数えると、そこには見間違えようもなく、大金を示す数字が並んでいるのを認識できた。

 結局、その後は変に気分が高まってしまい、寝付くのに苦労することになった。ついでにDランクに昇格していたが、大金のインパクトのせいでそちらは軽く流された。




 昨夜は興奮してうまく寝付けなかったが、一晩経つとその興奮も大分落ち着き、ロアも冷静に物事を判断できるようになっていた。


『この1200万だけど、どうしようか。これだけまとまった金額が手に入ったわけだし、何かに使った方がいいのかな』


 装備はつい数日前に整えたばかりであるが、1200万という大金を手にしたのなら追加で買い足した方が良いかもしれない。そう考えて、参考までに使い道をペロに相談した。


『それでも構いませんが、私としては迷宮に挑んでからの方がいいと思います』

『前じゃなくて後? どうして?』


 迷宮の第二層へ挑む。その前に装備を整えるというのは理解できる。しかし、挑んだ後にというのはよく分からない。戦いに臨む前、身につける装備に惜しまず金銭を費やすのは探索者の常識だ。少なくともロア自身はそう考えているし、ペロ本人からも以前似たようなことを言われた。

 その発言を翻すかのような相棒の言葉。ロアは発言の真意を確かめる意味で尋ねた。

 ロアの問いに、ペロは落ち着き払った口調で答えた。


『足りないものを知るためです。私の見地として、今のあなたの力なら二層でも通用する公算はかなり高いです。たとえそうならずとも、逃亡するだけなら私のサポートがあれば十分以上に見込めます。であるなら、今すぐ装備の拡充を図らずとも、迷宮に挑み自分の強みと弱みを再確認した後。弱みを補う戦い方を模索する方が今後を見据えれば有意義です。手当たり次第に費やすだけの段階は超えました。これからは挑戦と経験から、思考と試行を繰り返すときです』


 今のロアの戦闘スタイルは、ブレードを使った近接戦が主である。近接戦闘をより磨くか、中遠距離での戦い方を獲得するか。獲得したとして、どの程度の装備を購入の目安とするか。近接装備との相性はどうか、装備全体のバランスはどうか。様々な要因や見込みを考える必要がある。


『それに、必要なものは他にもありますしね』

『あー、そうだったな。忘れてたわけじゃないけど、ちょっと意識から抜けてた』


 端末の修理に情報記録装置に車両。必須とはいかずとも、今の自分に必要なものはこれだけ溜まっている状況だ。装備ばかりに金を費やすわけにはいかなかった。


『そういえば、再生剤なんかも新しいの買わないといけないしな』


 再生剤は高価なため補充したくてもできなかった。気休め程度の低品質の治療薬は買ったが、もしものときの保険には物足りない。こちらもそれなりに優先度の高い買い物だ。


『それじゃあ、今日の探索で実力が不足してたら装備や薬、余裕があったら貯めておくってことにしようか』


 そう方針を定めて、ロアは遺跡へ行く支度を進めた。




『エネム、全部換金しなくてよかったな。また最初からっていうのは、嫌じゃないけど気分が削がれる思いだからな』


 いつものように遺跡まで来たロアは、そこで資格デバイスを借りて迷宮に潜った。

 迷宮内での階層移動方法は二つある。一層から順繰りに下へ降りていくか、ショートカット用の通路を利用するかだ。ショートカットは一度到達した階までしか行くことはできない。ロアはこれまでの探索で二層までは到達していたので、今回は直接その階層へ向かうことができた。


 専用の通路を通る。迷宮の入り口同様、エネムが不足している者はここで弾かれる。十分なエネムを持っていたロアは、同じ道を行く他の探索者と適当に距離を置きながら、下層への階段を降りていった。




 階層移動を終えたロアは、二層へ続く最初の広間にたどり着いた。一層と同じく大きめの空間であるそこには、一層と同じく数人の同業者が居合わせていた。唯一これまでと異なるのは、彼らのランクと実力だ。ここから先は討伐強度が20を超えるモンスターが出現する。それはすなわち、挑む探索者の強さも相応に跳ね上がるということだ。中級の壁を越えた者たち。ネイガルシティではついぞ出くわさなかった強者が、ここでは当たり前に存在している。

 そんな強者である者たちからの視線を感じる。取るに足らない子供ではなく、一人の同業者として観察される。こういう経験は初めてではないし想像もできていたが、実際に肌で味わうのでは雲泥の差である。仮にここにいる者たちが敵に回った場合、自分など一瞬で殺されてしまうかもしれない。

 生じ得るリスクに、ロアは自分の手の中にじんわりと嫌な汗が滲むのを感じた。

 それでも表面的な動揺は露わにすることなく、平然とした面持ちを維持した。臆せばそれは、相手に付け入る隙を見せることになる。襲撃の機会を与えることになる。それを回避するため、堂々とした強い探索者でいることを意識した。

 背中に彼らの視線を受けながら、さらに奥へと歩みを進めた。




 二層の探索を開始したロアは、尾行の類を警戒しながら道を選んだ。並行して存在感知で通路に潜む敵対者の把握に努めながら先へ進んだ。この階層にいるのは全員が自分より格上の探索者だ。モンスターもこれまで戦ったことのない強敵だ。それはつまり、油断一つが命とりになることを意味する。

 何度も死にかけた経験から今度こそ学んだロアは、意識を集中させて敵への警戒を行なっていた。


『気張るのはいいですが、根を詰めすぎると長く持ちませんよ』


 そのロアの覚悟も、ペロにはやんわりと否定されてしまう。


『集中力には限りがあります。それを探索で消費してしまうと、肝心の戦闘時に戦えなくなります』

『そうは言うけどさ。警戒を怠ると、不意打ちを受けるリスクが高くなるだろ』


 この階層で襲ってくるのは、間違いなく自分と同等以上の強者である。これまでと同じ警戒方法では戦闘が始まる前に遅れを取る可能性が高い。敵も自分と同じように存在感知を誤魔化す手段を持っているかもしれないのだ。であるなら、今まで以上に力が入るのも当人の感覚ではやむなしだった。


『それはそうですが、これまでもそのリスクはありました。今更の話です。それに何のための私ですか。あなたの負担を軽減させるのも私の役割です。そこは任せてくれればいいのですよ』

『……そうか。そうだな』


 自分は一人で戦っているのではない。そのことを再認識して、ロアは力み気味だった体の緊張を和らげた。


『まあそうは言っても、最終的には一人で全部こなせるようになるのが理想ですがね』

『厳しいな』


 相棒からの高い要求に、ロアは苦笑した。




『敵ですね』

『……ああ』


 迷宮を進むロアは、この階層で初めてとなる敵を感知の範囲に捉えた。


『一体か……しかも、かなり強いな』


 相手から感じられる存在感は、これまで対峙してきたどのモンスターよりも大きかった。


『今ならまだ気づかれずに撤退できるでしょう。避けますか?』

『いや、戦う』


 迷宮のモンスターにはとある傾向がある。それは強力な個体ほど少数で行動するというものだ。複数で現れるモンスターは、その階層ではさほど強くない個体とされている。反対に単独で現れるモンスターは、その階層で最も強力な個体である可能性が高い。例外として、他の探索者の倒し残しが一体で徘徊することもあるが、今回に限ってはそれが当てはまらないのは気配から明らかだった。

 ロアはブレードを鞘から抜きつつ、ペロに語りかけた。


『こいつに勝てれば、俺はこの階層でも戦えるってことだろ。なら今回の目的にも適ってるし、自分の今の実力を知るのにも悪くない機会だ。だから戦う』

『さっきまでやたら緊張してたくせに、随分と威勢がいいですね』

『それはそれ、これはこれだ。撤退の判断は任せる。あと、危なくなったらどうにかしてくれ。それ込みでの決断だから。一人ならとっくに逃げてる』

『……頼られて嬉しい気持ちと、人任せの情けなさが同居していて、何とも言えない気持ちです』


 自分の無茶振りに対して、言葉に言い表せない複雑な念を送ってくる相棒に、ロアは『悪いな』と苦笑気味に応じた。

 そして、表情から緩みを消すと、前方の敵に鋭い視線を送った。

 現れたのは、毛皮をまとった二足歩行のモンスターだった。背は猫背のように丸まっており、両腕は地に着きそうなほど長い。垂れる腕先からは鋭利な爪が伸び出ている。体は歩くたびにふらふらと小さく横に揺れている。モンスターの歩行に合わせて、ペタペタと特徴的な足音が迷宮の通路に木霊した。

 ロアは魔力で肉体と武器を強化する。そのまま五感と存在感知を用い、如何なる行動にも即応できるように注視した。


 不意にモンスターの顔が持ち上がる。相手の視界に自分の姿が映し出される。その瞬間、モンスターの内側から噴出するように魔力が溢れ出た。感覚でしか察せられなかった存在感が、強烈に主張を開始する。

 その変化から生じる戸惑いを、相手に回復させる暇もない間に、モンスターは跳んだ。


 人間離れした瞬発力が迷宮の床を叩き、両者の距離が一瞬で縮まる。跳びながらモンスターは振りかぶった。垂らしていた腕を弾みをつけるように後方へ反らせて、自らの敵に叩きつけた。

 相手の高速の先制に、同じく常人の域を飛び越えたロアは遅れず反応する。ほとんど反射に近い早さでその場から跳び退いた。

 モンスターの攻撃が空振る。その斬線は弧を描き、通路の床に鋭く突き刺さる。数本の亀裂が跡を残した。

 迷宮の壁は挑戦者やモンスターの高い戦闘能力に耐えられるほど、強固な防御力を誇っている。そしてその頑強さは、階数を増すごとに、出現するモンスターの強さに合わせ増している。現在ロアがいる二層の壁は、一層のものよりずっと強度は高くなっている。

 その通路を難なく破壊した攻撃は、それを繰り出したモンスターの強さを如実に表していた。

 敵の攻撃力を間近で目視して、それでもロアは焦らない。相手の強さは事前に知れている。この程度では意識の乱れを起こすに至らない。

 相手の攻撃が連続で繰り出される。鞭のようにしなりながら高速で振り回される腕は、強烈な乱打となって降り注ぐ。動きに無駄は多くとも、ただ速いというだけで反撃の機会は奪われる。

 シンプルな攻撃に、ロアは防戦を強いられる。ことはなかった。

 戦闘に入り、ロアの意識は高速化していた。これまでも魔力で己の肉体を強化するたびに、動体視力の上昇は感じていた。普段の状態なら決して捉えられない動きだって、強化された時間分解能なら正確に把握することができた。

 しかし、これは違う。今までの強化よりも、さらに濃い時間密度をロアにもたらしていた。

 魔力による肉体強化。それを発展させた自己領域拡張システムと呼ばれるこれは、人体の感覚器官や身体能力に加え、情報の処理速度をも格段に向上させる。その副次効果は、意識の高速化が現実時間の低減という形で現れ、ゆったりとした光景を本人に錯覚させる。自他による高速での動きを認識することを可能とする。

 ロアはここに来るまで、短期間でいくつもの死線を経験し、それを乗り越えてきた。同時にその度にかけられた魔力は、少しずつ、けれど着実に、越えた死線に応じて肉体を補強していった。そこにペロの操作が外部から挟まり、一層の最適化を以って確立した。擬似的な死の体験と言うべき死線の連続は、走馬灯のように肉体に刻み込まれ、死の拒絶という変化を明確な形で仕立て上げた。

 その変質が、かつてない強敵と相対することで急速に芽生え始め、潜在能力となって開花した。


 ロアの進化にペロのサポートが加わる。高速に適応した時間知覚の中で、ロアの意識に反撃の手筋が浮かび上がる。速く強力な連撃。通常なら見切るのすら苦労するそれをかいくぐり、ロアは敵を間合いに捉える。

 攻撃で伸びきった腕。引き戻されるより早くそこを斬りにかかった。魔力で強化された刃が、モンスターの柔軟な体部を断たんと振り下ろされる。刃と腕、正反対の性質を持つ両者が交差し、鋭利な斬撃が有機質の体表に食い込んだ。

 しかし、その攻撃は体表を浅く切り裂く程度に留まった。


『斬れたけど斬れない……! なんだこいつ!?』

『斬撃がうまく受け流されました。今以上の速度で振り抜かなければ痛打になりません』


 斬り込んだ腕とは反対の腕で打ちつけられるカウンター。ロアはそれを上体を仰け反らせて回避する。発声すら満足にこなせない攻防の最中で、ロアは思念のやり取りのみで瞬時にペロとの情報を交換させた。これもまた、意識時間と現実時間の乖離の差があるからこそ可能な芸当であった。


『要はもっと速く斬ればいいってことか。分かりやすくて助かる!』


 敵を倒す術を簡潔な解として得たロアは、もう一度意識を攻めに転じさせた。

 強い踏み込みは、より強い一撃を生む。そのことを本能で理解して、両手でブレードの柄を強く握りしめた。


 僅かとはいえ、己の肉体を切り裂かれたモンスターは、より苛烈さを増して襲いかかった。無駄が多く見られた攻撃はより乱雑になっていき、比例するように激しさと威力を伴う。腕を振るたびに壁や床には亀裂ができ、地を蹴るたびに突風がその場に渦を巻いた。

 一撃でもまともに受ければ致命傷は免れ得ない。そんな乱打の嵐を、ロアは冷静に対処し切り抜けた。


 未だ一切の攻撃が当たらない敵に対して、モンスターはついに攻め方を変えた。平面での戦いでは捉えきれないならと、床を蹴って空中に跳んだ。床を蹴った足はそのまま壁を蹴り、二歩の経由で天井まで到達する。

 そして重力に対して逆さ立ちとなったモンスターは、僅かな時間天井を足場として、そこを思いっきりに蹴りだした。加速度の乗った脚力は平地の数倍もの速力を生み出し、尋常ならざる速さでロアに向かって接近した。


 敵の行動の変化と速さに、ロアの理解と対処はついていかなかった。いくら意識の時間が間延びしようと、動かす肉体は現実の法則からは決して逃れられない。高速に対応するならば、それに応じた読みを交えた初動が必須となる。まだ高速戦闘に慣れておらず、意識と現実時間の差が大きく離れていないロアでは、短い時間の中で判断するのも読み切ることも、不可能な領域の話であった。

 それをペロがカバーした。人ならざる身であるペロには、主観となる時間の変化など自在に操作できる。更にロアを遥かに上回る存在感知の精度は、膨大な量の情報を取得、瞬時に処理して、相手の肉体の動きと行動の変化から、相手が何を為そうとするか、予知に近い精度で看破した。

 モンスターが天井に達する直前で、ペロはロアの肉体に回避の命令を下した。その指示を受け取ったロアが、屈伸などほとんどない瞬発で、その場から離れるために横へ跳んだ。

 そこにモンスターが突っ込んだ。迷宮の床ごと敵対者を破壊するような一撃が、轟音を立てて叩きつけられる。迷宮の通路には大きな亀裂が走った。

 だが、それを受ける筈だった者は間一髪でそこから退いている。手応えのなさから仕留め損なったことを理解したモンスターが、即座に残影を追って振り向いた。


 その振り向きと重なるように、回避とともに振り上げた両腕を、ロアは全霊の力を込めて振り下ろす。

 亀裂が生じ不安定になった接地面。その上に魔力による足場形成を利用して踏みとどまる。強い踏み込みは最大の力を生む。高価なブレードに目一杯まで注がれた魔力は、武器本来の性能を何倍にも底上げる。

 強化された武器は、更に使い手の膂力と技量を受け取り、持てるポテンシャルの全てを発揮した。


 いくつもの要因が重なった渾身は、モンスターの頑強な頭部にスルリと食い込みそのまま容易く胴体まで到達する。そしてブレードのリーチの達する限りまで、相手の体を大きく切り裂いた。

 再現された迷宮のモンスターであろうと、持つ弱点は元になった魔物と変わらない。生物の最も重要な急所である頭部。そこを断たれたモンスターは、己の敗北を理解することなく、活動の一切を停止させた。先ほどまで発揮していた強烈な存在感を霧散させ、モンスターは音もなく崩れ落ちた。

 ブレードを振り切った態勢のまま、ロアは倒れた敵を身じろぎせずに見下ろした。


「ハァ……ハァ……勝った」


 緩急のついた急激な動作の連続により、強い息切れを起こしながら、ロアは勝利の言葉を口にした。

 そこでモンスターの死体が消える。迷宮に吸われる前に、ペロが魔力に変換して取り込んだ。


「すごい強かったけど、なんとか勝った」


 それを頭の端っこで理解したロアは、取得したエネムや身体の疲労も気にすることなく、もう一度勝利の感想を声に出した。


「俺、すごい強くなってるんだな……」

『あなた一人では勝つのは無理だったでしょうけどね。ですが、そうですね。本当に強くなってると私も思いますよ』


 相棒からの賛辞と強くなった実感、そして戦闘が終わったことによる安堵。それらが重なって、戦闘が終わってから、ロアは始めて笑ってみせた。

 しかし、すぐに表情を引き締める。


「……一体倒したくらいで満足してちゃダメだよな。よしっ」


 ブレードを鞘に収めて、自身の頬を両手で叩いた。


「──じゃあ、行くか」

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