僕の最高の友達

天之川 テン

第1話 いつもの場所で

「やあ、久しぶり。学校帰り?」


僕は斉藤賢太。高校一年生だ。始業式の帰りに、《いつもの場所》に寄った。


「へへ、久しぶりって言っても、三週間ぶりくらいだね」

「よく会ってたから、会わない時が長く感じるよー」


さっきから話しかけてくる女の子は、僕の友達。あやかしで、いつもこの神社にいる。


「ねえ、ボーっとしてどうしたの?何かあったの?」


「そう、何でもないならいいんだ」

「あれ?なんか今日の君はいつもと違うような気がするね」


「わかった!制服がいつもと違うんだ!」


「そっか、君ももう高校生なんだね」

「入学、おめでと」


「あれ、制服が乱れちゃってるよ。なおしてあげようか」


「照れないの。ほらほら、大人しくしてて」


「あはは、待ってってば」


ドタン!(転ぶ音)


「わっ、大丈夫?ごめんね」


「膝、すりむいちゃってる。消毒してあげるから待ってて」


「ううん、ちゃんと消毒しなきゃダメ!待ってて」


タッタッタッタッ(走って遠ざかる音)


タッタッタッタッ(走って近いてくる音)


「結構ひどく転んだねー」


「なんかこうしてると、昔を思い出すなあ」

「覚えてる?まだ君が小学校に上がったばかりの頃のこと」


「はは、覚えてないか、そうだよね」

「私はよく覚えてるんだー」


「私と君がここで鬼ごっこをしてて、君が全然私に追いつけなくてさ」

「君が無理に追いつこうとしたら、勢いあまって木にぶつかっちゃって転んだの」

「それで、泣きじゃくる君の手当てを私がしたんだっけ」


「ふふ、恥ずかしがることないよ。子供ならありがち」

「こうしていると、その時のことを思い出すよ」


「君が今日、新しい制服を着て私の前に来た時、複雑な気持ちになったんだよね」

「嬉しい気持ちもあったけど、寂しい気持ちにもなっちゃってさ」

「君は、まだ小さかったあの時から成長して今はすっかり大人で」

「これからもどんどん成長していくんだろうなって」


「私はあやかしだから、人間と同じように成長できない。ずっとこのまま」

「だから私だけ取り残されたみたいで、寂しく感じたんだ」


「でもね、わかったの。確かに君はこれからも成長するけど、君は君で、私は私。それは変わらないんだって」


「あはは、変なこと話しちゃったかな」


「はい、これでもう大丈夫だよ」


「そうなんだ、今日はもう帰るんだね」

「ちゃんと歯磨きするんだよ。虫歯になった時、大変だったでしょ」


「ふふ、言わなくても分かるよね、もう大人なんだから」


「バイバイ」





















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