第19話


先輩の横へ並ぶようにしゃがんだ。


「 君にお願いがあるんだ 」


ビクッ…こんなところで…お願いなんて


まさか…


いきなり…


そ、そんな大胆な……



「 ダ、ダメです…いきなり!何を考えてるんですか! 」


「 … そうだよね…けど、待てないんだ… 」


待ってよ…


「 あの…少し時間を 」


「 今すぐ聞きたいんだ 」


え?…今、答えなくちゃいけないの?


無理…


「 あ…あの… 」


「 ところで、好きな歌ってある? 」


はあ?


「 歌?…特には無いですけど 」


「 じゃあ、歌える曲は? 」


「 はい、この前卒業式の時に歌った、仰げば尊しなら、ちょっと前に練習していたのでたぶん、歌えるとは思いますけど…でも、それが何か? 」


「 ワンフレーズでいいから聴かせてくれないかなぁ 」


なぜ? 


恋と関係ある?


「 ここでですか? 」


「 うん 」


「 い、嫌です! 」


え?…先輩?…なんか目つきが変わってきた


「 へッ! 変なことしたら! 大声だしますよ! 」


「 大声?…ははは、勘違いしないでよ…でも、是非聞きたいな、君の大きな声、さっき部室で出した時の高音は最高だったよ 」


「 高音? 」


「 少しだけでもいいんだ、恥ずかしいなら耳をふさいでいるから… ほら… 」


西島さんは両方の耳を人差し指で塞いだ。


本当に塞いでいるの ?


「 聞こえますか? 」


反応無し


「 聞こえますか!! 」


反応無し


大丈夫そうね、じゃあ、最初のほうだけ…


歌います



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