第11話第二試験(2)
sランクに勝利だと⁉ 不可能だ、在学中の生徒でさえそんな条件クリアできるわけが無い。俺が心中でそんなことを思っていると、周りも当然同じことを思っていたのか、会場内がざわついていた。試験官はその動揺が毎年恒例と言わんばかりの落ち着きようで、まるで俺たちを諭すかのように不足の説明を話した。
「今、そんなの無理に決まっている。できるわけが無いと、皆さんお考えでしょう。勝利条件の補足です、勝利条件はあくまでsランク冒険者に勝利、つまり、倒すこと。それと同時に各冒険者の方には一定の陣地を設けております。そこに立てているフラッグを倒すことも勝利条件と致します。今から三十分ほど時間を取ります。その間に各々作戦を立ててください」
なるほど、一見無理そうに見えて、中々に考えられた試験だな。力に加え起点の鋭さもこの試験であれば一目瞭然という訳だ。さて、俺たちのグループはどうする? 一人、この試験の打開策を考えていると不意に声をかけられた。
「クロム、この試験どうお考えですか?」
「シャルルか、いや、さっぱりだ。そもそも相手の冒険者が出てこないと対策のしようがない」
「それもそうですね、では作戦はいかがしますか?」
「いや、待て。何故俺に指示を仰ぐんだ? そんなのシャルルがやればいいだろ?」
「クロムの意見も聞きたいのです。あなたなら私にも見えていないものまで見通していそうなので」
「悪い。今回は役に立てそうにない。他をあたってくれ」
そう言うと、シャルルは不機嫌そうな顔を浮かべて、皆の元に駆け寄り作戦会議を始めた。今回は流石に目立つような行動は控えるべきだ。俺は今回後方支援に専念しよう。俺がそう決意を決めていると、何やら纏まりを見せつつある雰囲気が感じられた。やはり、シャルルは何かしらのスキルを使っているのか? その疑問を晴らすべく、スキル解析(スキャン)を使いシャルルを解析した。
自身のステータスに何の妨害もしていなかったため、容易に解析ができた。俺の読み通り、シャルルはスキル導く者というスキルを保有していた。更にそのスキルはシャルルのオリジンスキルに該当するものだった。流石王族、星五のオリジンスキルか、権能は状況判断、人心掌握、適正配置、というものだった。これは使い手に左右されると思ったが、シャルルが扱うに相応しいスキルなのだろう。
作戦が決まった。作戦はかなり拙いものだが、陣形はそれなりに悪くなかった。アタッカーが前衛。ディフェンダーが中盤。サポーターが後衛を務める形の陣形だ。俺はもちろん後方支援の後衛に配属された。いや、何故か前衛に名前が挙がっていたので、しれっと後衛に避難してきたのだ。
そして、与えられていた時間の猶予が終わり、第二試験が開始された。
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