第10話激闘(2)
影の中から現れ、奴と対面した。
「影魔法・乱槍」
無数の影の槍を奴に向けて放った。だが俺の予想通りこの技は奴の転移によって躱されてしまう。
そこから先はまたもう一度転移による攻防が始まる。
先程とは違うことは俺が転移をしながら仕掛けを施していることだ。そろそろ仕上げといこうか! 俺は自身が張り巡らせた罠へと誘導して転移した。
俺の狙い通りに奴は転移してきた。そのタイミングを逃すことなく罠を発動させた。
「影魔法・捕縛陣」
影を糸のように操り、無数の細長い影が奴を絡み取る。だがこれではすぐに解かれてしまう。すかさず新たな影を重ねてかけることにした。
奴の体の部分が巨大化してきた。だが流石に何重にも重ねてかけられた影はすぐに解かれることは無かった。ここまでは順調だ、次の一手は果たしてできるかどうかは定かではない。なんせ試した事も無かったことだからだ。これまでの魔法と同じ要領ならできるのではないかという想像のみの技だ。
俺は自身の右手に集中した。イメージは黒炎。掌に球体型の影を出し、かなりの高回転で影と影をこすり合わせた。その無数の摩擦熱によりたちまち炎が上がり始めた。よし、できた。その燃え上がる球体を奴に目掛けて投げ飛ばした。
「影魔法・螺旋焔」
燃え上がる球体は奴に直撃した。烈火の如く燃え上がる炎は奴を蝕み、少しずつ体力を奪う。その炎の中で叫び苦しむモンスター。俺に新たなきっかけをくれた因縁深いこいつには最後に最大出力の技を以て、手向けとしよう。
右手を上に掲げて影を集める。イメージは収束。集まる影は束となり形を変えていく。
「影魔法・グングニル」
全力を込めた一撃。それを前にした奴は突如顔を巨大化して大きな口を開いた。まさか、魔力砲も打てるのか⁉ 完全にぬかった……。だがここで引くわけにはいかない。俺にはどうしても成し遂げなければならないことがあるのだから。
俺と奴の技のぶつかり合い。互いに一歩も譲らぬ戦局で分があったのは俺の方だった。奴は魔力砲を放つことで精一杯になっていて、注意も俺の放った槍にしか向いていない。その隙を上手く利用して、奴の喉元に影を送った。
「影魔法・影龍」
空いている左手の人差し指と中指を上に立て、地面から伸ばされた影が奴の喉元を貫いた。その影はまさに下から伸びる龍の姿をしていた。
俺の攻撃をまともに受けた奴は、魔力砲が収まり、グングニルを直撃で受けて吹き飛んでいた。魔力探知にも反応はない。どうやら俺はリベンジを果たせたようだ。自身のステータス画面に目を移すと魔力がほぼ零になっていた。危なかった、これ以上戦いが長引いていればやられていたのは俺の方だったな……。
一応奴の死体を目視で確認しに行くことにした。万が一のことがあるかもしれないからな、そう思い俺は奴の飛ばされた方まで歩みを進めた。
少し歩みを進めたところで奴の姿が目に入った。俺の放った槍が巨大な口から胴体を貫き壁に突き刺さっていた。
その姿を目にしてようやく自身の勝利を確信した。思い返せば長いようで短い時間だった。こいつに殺されたところからすべては始まったのだ。
奴の死を確認したのと同時に自身のパラメーター画面に移動した。そしてそこに与えられたパラメーターポイントは千ポイントも入っていた。やはり今までの敵よりも強敵だったこともありポイントもかなり多く入っていた。
その膨大なポイントを俺は均等に割り振った。
烏丸海斗・闇の執行者(カオスネビュラー)。パラメータオール千二百五十。スキル魔力探知、魔力操作、転移、魔王覇気、超回復、時空支配、飛空、闇移動、鑑定眼、隠蔽、乱刀、神速。それに加え新たに千ポイントを超えたことで得たスキル、重力操作、鉄塊、死脚だ。
俺はその場にて自身が更に強くなっているのを確信した。後はこの迷宮から脱出さえできればいいのだが……。
そんな俺の目の前に大きな扉が聳え立っていた。
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