俺だけレベルがない世界

橋真 和高

第1話プロローグ

 雨が降っている。真っ赤な雨が。

 いや、これは赤い雨ではなく、おそらくだが俺の眼球に血が降り注いだことが原因だろう。

 俺の眼前には血の海が広がっていて、それを生み出しているのは多くの死体たちだ。

 周囲からは悲鳴と絶望が溢れていた。多くの騎士が剣を地面に投げ、膝を落とし絶望している。

 その原因は、あぁ、そうか。俺が手にしているこれか……。

 そして、俺の横に立てられた黒い影のような槍に貫かれている二人の死体。これらも彼等の絶望の理由なのだろう。

 二体の死体は一国の国王と、女王、そして俺の手に納まるのは皆が守るべき対象にしている姫様だ。

 だがこんな犠牲はほんの序章に過ぎない。物語はこれから始まるのだ。それと同時に俺の標的になったものはエンドロールを迎えるということになる。

 俺から大切な物を、大切な人を奪った世界を俺は絶対に許しはしない。俺が受けた絶望を、怒りを、悲しみを全てを教えてやる。俺を陥れた彼等彼女等を必ず見つけ出し、必ず殺す。それだけが俺の生きる意味、使命だ。

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