おねえさんフォーエバー

姫路 りしゅう

十歳

 優しくておっぱいの大きい、近所のおねえさんが死んだ。

 おつやの間、ぼくはずっと泣いていた。

 ぼくはいつも冷静で、頭がいいことが取り柄だったから、自分からこんなにも涙が出るなんて思わなかった。

 泣きすぎると血管がしゅうしゅくして頭が痛くなる。

 それを知っているぼくは涙を止めようと思ったけど、全然止まらなかった。


 ぼくは、おねえさんが大好きだった。


 十七歳だったおねえさんは、ぼくに勉強を教えてくれたり、山へ探検に行ったりした。

 ぼくはもともと頭がいいけど、おねえさんのおかげでさらによくなったんだと思う。

 おねえさんは黒い髪を肩の下まで伸ばしていて、おっぱいが大きかった。

 目を閉じればおねえさんの姿が鮮明に浮かぶ。

 どうして死んだの。

 どうして置いていったの。

 

 家に帰ってからもずっと泣いて、気が付けば朝になっていた。

「……朝か」

 泣いたせいで頭や目が痛かったけれど、がんばって体を起こした。

「あ、起きた? おはよ、こーすけくん」

「んあぁ……おねえさん。おはようご……」

 視界の隅で黒髪が揺れる。

 ぼくの学習机の上に、よく知った顔の女の人が腰かけていた。

「なんで……?」


 昨日死んだはずの悠里おねえさんが、ひらひらと手を振った。


「さぁ、なんでだろうね?」

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