処刑人≪パニッシャー≫と行く異世界冒険譚
きりしま
第一章 スヴェトロニア
第0話 日記
異世界転生、異世界転移。
前世でたくさん読んだラノベに、良くある話しだ。
誰だって憧れる。
誰だって夢を見る。
何かの拍子にそんな選択肢が与えられれば、それをつかみ取り、活用し、大成功を収める。
可能ならスキルなんて上等なものをもらって、美男美女に囲まれてハーレムを築き上げたり。
王侯貴族に負けず劣らず優雅な生活を送る。
あぁ、夢みたいだ。そんなこと。
そう、正しく夢だった。
結論から言えば、すごく苦労した。
俺は大したスキルに恵まれなかったし、持っていると言えば異世界転生のhow toくらい。
泥水も啜った。血反吐も文字通り吐いた。体中が砕かれるような苦痛にも見舞われた。
それでも俺は生き残った。
運が良かった。人との出会いがよかった。
あの人と出会い、そして旅が出来た。
俺の一生の宝物、一生の幸運。
日記を書けと言ってくれたあの人が、居てくれたから今俺はここにいる。
道に迷った誰かの希望になるように。
絶望の淵に立たされた誰かが、顔を上げられるように。
いつか俺が死んだあと、ここに居たのだと残りますように。
遠い場所に行ってしまったあの人が、何かの折に見つけられるように。
この日記を俺の一生の師匠であり、戦友であり、親友であり、兄であるラングに捧ぐ。
――― ツカサ・ミツミネ
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