レゾンデートルの祈り

楪一志/IIV編集部

「     」

「     」




 人はどんな気持ちで、さいを決めるのだろう。

 何もかもをあきらめて、苦しみから逃れたい一心なのか。

 これが幸せな最期だと、未練も迷いもないのか。

 自分が決断するとしたらその選択を本当に正しいと思えるのか分からない。

 最期に一杯の致死薬を口にする時、きっと誰かのことや思い出が浮かぶのではないかと思う。

 希望という名のどころや理由と巡り逢えることを、最期の口づけまでに期待してしまうと思う。

 もしも同じように期待している人がいるのなら、自分がその拠り所や理由になりたい。

 それでも、この気持ちだけで向き合っていけるだろうか。

 これから出逢う人の心に寄り添えるだろうか。


 彼女は空に問い掛けるのを止めた。

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