家に来た保護猫!

JOY POP

第1話  保護猫 NO5

 書いてる小説とは全く関係無いのかな?、嫌、関係なくも無いのかな!。


 一昨日の事、駐車場の脇に自作でこさえた自転車置き場で声がする。

「小さな小さな泣き声がする!」

 猫の声に凄く敏感な者が我が家には居る。

 俺には全く聞こえないのだが、聴こえたと言って居る、其れも夜十時頃の事。


 今居る此の地は、昨日、一昨日とゲリラ並みの豪雨と落雷が凄かった。

 そんな中で、仔猫の声がすると言って居る。


「お前は何でそんな物が聞こえるんだ?」

「でも確かにしてる、こんな雨の中じゃ死んじゃうよ!」

 声を頼りに其の者は進んで行く、行って見ると生後二か月過ぎの仔猫が居る。

 此奴の耳は如何為って居るんだろうと何時も不思議に思う…。


 嫌そんな場合じゃ無かった、仔猫を回収後汚れ切った体を洗っていた。

 よく見て観ると開かぬ左目…。


 嫌がる仔猫を腕が血まみれに為っても洗ってた。

 三度ほど水を替えても、水は汚れている、どれだけ汚れてるんだコイツ…。


 衰弱し切ったその体を乾かして居た、確認した時に怒りが込み上げる。

 前足は悪魔の爪だったんだ、其の所為で俺の腕は血まみれに為って居たんだが…。


 でも後ろ足の爪には、爪を切る為の道具で切った後が有った‥‥。

 肉球もピンクで綺麗、野良で無いのは間違いない、酷い猫風邪と開かない左目の為に多分此の数日の内に捨てられたんだと判って仕舞った‥‥。


 日中は居なかった様だ、家に居る変な奴そいつの趣味で其れ専門の花屋かここは?、そう思う位の花を育ててる、此の酷暑の為朝と夕に水を撒くのか日課に為って居るのだが、其の種類は特に水が必要で其の為毎日花の置かれた其処にも行く、夕方は居なかったそうだ。


 こんな酷い雨の中を仔猫が歩いて来たんだ、確かに家の自転車置き場には三年先まで使わんだろうと言ったんだが、今買うと言って聞かなかった自転車が置いて有る。


 高校に通う迄は必要無いんだが、其れでも聞かず中学に入る時に買った物、購入してからの走行距離は家の前で試し乗りをした僅か三百メートルほど、頭が痛かった…。


 三年間もの間を野ざらしにする訳にも行かず、急遽きゅうきょ百均で材料をかき集め自作した物だ、お蔭で未だに錆も無くピカピカの侭だ…、おっと!、話が横道に逸れてしまった。


 お蔭で猫は無事に避難出来て居た様だ、既に降り始めてから二時間以上経って居る、雨に打たれたずぶ濡れの侭では、既に体力は尽きて居ただろう、別の意味で俺の労力は報われた様だ。


 五度目の濯ぎで漸く綺麗になった、お蔭で俺の腕は刺さった爪の傷、引っかかれたミミズ腫れが幾つも出来て居た、タオルに包み弱の送風のドライヤーで乾かしている。


「この仔若しかして左目が無いの?、この仔目が見えないの?」

 俺の脇に立ち、眼から雫を流し続けていたコイツは変な奴、何故か猫と話が出来る本当に変な奴何だ、近所を歩く、庭の手入れをするそう言う時に必ず猫がやって来る、所謂いわゆる地域猫と言うらしいのだが…、勿論人語で話しかけて居るのだが、其れは俺も含めて人の目が有る所での話。


「ニャーン、ニャン、ニャニャ?」

「ナーオ、ニャン!」

「ニャンニャン、グルニャン?」

「ニー、二ー?」

「グルグルニャン、グーグーニャン!」

 休みの日、乞う言う風に物書きをしている事が多い、通常はカレンダー通りだが当番業務で土日祝日、年末年始等も出勤する必要が有り、平日に振休を取る必要が有る。


 偶に上の窓から覗くと人気が無くなり、気付かれぬ様に上から覗くと、先程の様な猫語での会話が成り立って居る、何故かと言うと猫が其れに相槌打つように返答してる。


 人語で話しかけて居る時も、猫がその指示に従ってる・・・?。

 とまあ変な奴である、だから俺に聴こえぬ猫の声が彼女には届いて居るのかも知れない。


 いかん!、話が直ぐに横道に逸れてしまう、話を元に戻そう。


「この仔此の侭目が見えないなら如何しよう、生きて行けないよ!」

 そう言い又更に泣きだす、多分自分と何かを重ねて居るのだろう、過酷な‥‥。

「お前な、良く見て観ろ!、見えるかどうかは未だ解らんが頭にちゃんと眼球の膨らみは有る、多分色々なもので瞼が開けられないだけだ、信用しろ!」

「わかった、お目目が有るんだこの猫の仔に!」

「おしりふきを持ってこい!、早くしろ!」

 そう此の間も俺の腕に新しい傷が増えて行く、此れ以上は勘弁して!。


 その内にお尻ふきが届く、もう赤ん坊が居なくなって十数年が経つ、だがこんなに役に立つコストパフォーマンスに優れた物は無い、価格も安く手も拭けてお客様宅で作業終了後に対象物を拭く時も、赤ん坊を拭ける物だ安全性は折紙付きだ、そしてこんな未熟な仔猫を拭く時も…。


 濡らせぬ、顔、耳、眼の周り、そして固く張り付き開かなくなった瞼も…。

 それを遮る固着した不純物が含ませた水分によって解きほぐされて行く、ゆっくり何度も撫でて行く瘡蓋かさぶた状の固形物が取れて行く、少しずつ、少しずつ…。


「本当にオメメがアッタ!、オメメが有ったよ!、左のオメメが!」

 開かれた瞼の中には、右目と同じ綺麗なビー玉みたいな綺麗な眼球が在った、でもまだ安心できない、猫じゃらしを右目の視界に入らぬ所で振らせてみる、シッカリ追って頭を其方に回す。


「チャンと見えてるんだこの仔、良かった!、本当に良かった!」

 また泣きだして居たのだが、これじゃ俺が堪らん、そうです温まって来たのを良い事に、元気が良すぎて四つのあんよが動き回る、比例して俺の腕の傷、逃げようとして肩によじ登る、肩、首、肩甲骨の付近まで、背中が痛い文句言いたくても相手が猫じゃ…。


「此の侭爪も切っちまうから洗濯ネット持って来い!、急いで俺が血だらけに成っちまう!」

 届けられたネットの中に逆らう仔猫を何とか納め、左前脚、右前脚、後ろ足と仕上げていく、此れで漸くこれ以上の俺の傷は増えなくなった、此れで一安心でも本当に許せない!。


「この仔、ちゃんとトイレでおしっこも、うんちも出来るよ一寸緩くて下痢気味だけど、偉いね!、偉いね!、水も飲めるし、カリカリの餌も食べられるんだよ!」

 嬉しそうに報告に来た彼女の顔は晴れやかだった、でも俺の心中は穏やかで居られなかった、トイレが出来る、水が自分で飲める、固形の餌が食べられる、そう此の子猫は飼い猫だったのがあの躰の状態で見放されて捨てられた、細かった躰は安心して餌を鱈腹食べて丸く為って居た。


 ペットシーツを曳いた段ボール箱から出て来て、そして躊躇う事無く彼女の膝の上に載りゴロゴロと喉を鳴らしてる、時々クシャミをしながらだったが、これで確定したこんな仔猫を捨てた奴が居る、汚い、病気、目が開かない、そんな事で捨てられた家猫である事が証明された…。


 野良猫が産んだ仔猫では親猫が育てられずに間引きする事は確かに有る、だが家猫は自分で生きて行く術を知らない、捨てられると生きて行けない、此の仔猫のように運よく誰かに見つけて貰わない限りは生きて行ける筈も無い、野良の母親から生きて行く術を教えて貰って無いから。


 ただ気が重かった、我が家の本物の中三の仔猫野郎が羽交い絞めにして離さない、何時の間にか名前迄付いて居た、俺の許可なく全てが決まって居た、そう別作品の<西と東>に有る様に残念ながら此の家の中では俺の意見は通らない、全てはもう決定事項に待って居る。


 溜息だけが漏れた、俺の人権は何時回復するのだろうか、永遠に来ないかもしれない…。




 本日動物病院で診察受けて猫風邪と左目に結膜炎が有りましたが、他は問題無しとの事です、例の彼女がカルテにシッカリ<すず>と名前も書いてました、飼い猫に決定したようです…。


 俺は此の家の中では永遠ずっと猫以下のようですね…。

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