★2題目「ぬいぐるみの誕生が19世紀って嘘ですよね!?」
KAC終わりましたね。完走された方も一部参加の方も読み側の方も、皆様おつかれさまでした!!
作品応募期間は終わりましたが、こちらのKAC苦闘記録はしばらく続きますのでよろしくお願いします。
(※カクマラソンの日数稼ぎも兼ねているのは内緒です……)
【2題目「ぬいぐるみ」:日本語と英語の語彙ギャップに騙されかかる】
舞台が15~6世紀くらいのイタリアモチーフということで、まずはぬいぐるみの来歴を調べます。文明レベル的に合っているのかどうか。
ぬいぐるみの歴史をWeb検索してみて……出てきたのは衝撃の事実でした。
「ぬいぐるみを最初に作ったのは、19世紀ドイツのシュタイフ社」
2題目にして詰んだ……と、遠い目になりました。
何かの間違いかと調べ直してみても、出てくるのは同様の記述。シュタイフ社公式ページ( https://www.steiff.co.jp/history/ )にはしっかりと「1880年 世界最初のぬいぐるみ」という見出しがあるし、Wikipediaのぬいぐるみの項目( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AC%E3%81%84%E3%81%90%E3%82%8B%E3%81%BF )にも「販売物としての最初の『ぬいぐるみ』は、一説にはテディベアで有名なドイツ・マルガレーテ・シュタイフが1880年に発売したものが一番初めのものと言われている」とある……。
もしこれが本当なら、19世紀より前には「ぬいぐるみ」の概念自体が存在しなかったことになる。
絶望しかけつつも、何か糸口はないか……とあれこれ探してみていたところ、英語版Wikipedia( https://en.wikipedia.org/wiki/Stuffed_toy )の「History」欄に手がかりがありました。
「In 1903, Richard Steiff designed a soft stuffed bear that differed from earlier traditional rag dolls because it was made of plush furlike fabric.」
「traditional rag doll」とはなんぞや? traditional(伝統的)ということは、シュタイフのぬいぐるみよりも前に何かが存在していた……?
と、期待しつつ「rag doll」の項目( https://en.wikipedia.org/wiki/Rag_doll )に飛んでみれば。
思いっきりぬいぐるみが並んでるやんけ!!!!!
しかもローマ時代からあるらしいやんけ!!!!!
どうやら英語はじめ欧米圏だと、人間型のぬいぐるみ(rag doll)と動物型のふわふわしたぬいぐるみ(stuffed toy)は別概念っぽいですな……。
念のためカタカナの「ラグドール」もWeb検索してみたところ、猫の品種名になってるらしく、気位高そうなお猫様の写真が大量に出てきました……が、それらの添え文はどこでも「品種名はラグドール(ぬいぐるみ人形)からとられています」と書いてありました。
ということは、日本語的には「rag doll」も「ぬいぐるみ」の範疇とみてよさそうです。
おかしいと思ったんですよね……ぬいぐるみって、発想自体はごく単純なものじゃないですか。
布を縫って詰め物をして、人や生き物の形を模す。
こんなシンプルな物が、19世紀に至るまでまったく世の中に存在しなかった、なんて考えにくいですからねえ。
そんなわけで、作中には「rag doll」の方の、人間型ぬいぐるみを登場させて一件落着しました。
異なる言語間での概念のズレは、本当に罠だよなあ……と思った今回のお題でした。
話の内容は「ラバーダック・デバッグ」と呼ばれる手法をもとに作りました。
無生物相手にプログラムを説明することで、問題が整理されてバグの原因が見つかる……という手法が本当にあるのですよ。
都市伝説っぽいですが「海外有名大学の教授の部屋には、入口にテディベアが置かれていて、学生はまずこれに話しかけなければならない」「テディベア相手に話してみて解決しなかった場合のみ、教授を呼んでよい」「しかしなぜか、テディベアに話すと勝手に問題が解決することが多い」……という話も聞いたことがありまして。
これらの話を、デリツィオーゾ風に変換してみた感じです。
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