第56話 ヴォラス魔法学校リーダー、タービ準備編②
基本戦略としてはいつも通り最初は戦う。
背水の陣をタービさんに使わせた後で逃げる。三十六計逃げるに
幸い素早さはあがらないと思われるし相手は全員が瀕死だ。逃げるのに専念すれば逃げられるだろう。
攻撃力アップも攻撃を受けなければ特に問題にならない。攻撃力がアップした敵と真正面から戦うよりは、戦略的撤退という選択肢を選び攻撃力アップの効果が切れるのを待つという手が恐らく一番有効だろう。
問題はこの効果がいつまで続くのか? だ。自分たちが戦った時の決着がつくまでにはいうジルニーさんの言葉を信じるなら5分前後だ。5分を超えて10分とか効果があるようなら僕たちは絶体絶命のピンチだろう。
背水の陣の開始後5分という壁をいかにして耐えるか、まずはそこを目指す。そしてそこからうまく反撃できるかにかかっている。
背水の陣の対策の結論として僕は素早さに全てを賭けることにした。逃げるのにも攻撃を避けるのにも攻撃を与えるのにも、必要なものの根幹はスピードだ。
だから全員に素早さの上がる強化魔法をかける。そしてこれを切らさないように徹底する。強化魔法を切らさないコツはまず自分にかけた後で他人にかけること。
自分の強化魔法があとどれくらい効果があるかは、おおよそだけど体感で時間が分かる。余裕があるときに自分にかけなおすついでに他人も一緒にかけなおす。。
その効果時間が把握できていても、戦闘のドタバタで他に注意を向けていると効果時間がきれて致命的な
こうすれば他人の強化魔法のかけ忘れもなくなるし他人の強化魔法の効果時間が切れるまでの時間も考えなくてもいい。自分の強化魔法の効果時間だけを注意しておけばよくなって手間が省ける。
別に効果時間が切れるぎりぎりにかけなおさないといけないというものでもない。よそ事に気をとられているうちに忘れてしまい、効果が切れて意識と感覚のズレを発生させることこそがまずいのだから。
ツーマンセルが基本だから必ず強化魔法をかける人が後衛になるように指示を出す。みんなには
「強化魔法のかけなおしがうまくいかず意識と感覚のズレが生じる瞬間が一番危ないです。そこが接戦になった時、一番大きな隙になり負ける原因になりやすいです。」
とみんなに説明した。
次に注意するのは相手の攻撃がワンパンでこちら側を倒せる威力があるということかなと思う。
でも、ここを逆手に取れば相手は勝手に瀕死になっているので、こちらもワンパンで倒せる可能性は充分にあるということも忘れてはならない。攻撃しても倒せなかったという情報はでてきてないのだから。
復活はしてくるらしいんだけどね。う――ん。だから5分間、逃げ続けることができるならそれが一番良い。
けれども自軍の旗を取られたら負けというルールがある。だから必然的に自軍の旗を守るため砦に
余裕をもってみんなが逃げ切った後で、砦の扉を閉めるためにも素早さがどうしても必要だ。その昔、どこかの偉い人も言っていた。『当たらなければどうということはない』と。
魔法のこと、ユニークスキルの背水の陣のことをいくら考えても、倒された相手が復活して攻撃してきたとき復活した相手は瀕死ではない。という謎は解けそうになかった。
今までの対戦相手たちは各魔法学校の代表メンバーということもあり、自分たちの実力を最大限発揮できるように戦ってきた。魔法をきちんと理解して、そのうえで効果的な作戦をとり戦ってきていた。
僕たちが今、戦っているのは実戦じゃない。魔法学校対抗戦というルールがちゃんとある競技だ。それなら実戦とこの競技とでは何が大きく違うんだろうか?
例えば戦闘不能で敗北。バッジを奪ったら1点ポイントが入る等々、実戦とはまるで違う。死なないようにできている。
じゃぁ、例えばそのルールに
もし仮にタービさんのユニークスキルである背水の陣を、僕が使えたならどういう戦いをするんだろうか?
そんなことをみんなに配られた12個のルールが書かれた書面を見て、寝ころびながらぼんやり考えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます