第36話 1年生の確かな成長
「"二本の矢"っていう
本当は「三本の矢」といって3兄弟の話が昔から残っているお話なんだけど、ツーマンセルは2人だから2本に変更して話をした。その方が分かりやすいかなと思ってね。
「基本的には2人パーティで協力して敵と戦いましょうってことなんです。その時にみんなで共通して考えることを、できるだけ統一しておいた方が
みんな聞いてくれてるようだ。基本的には僕たちはこの方法で戦い学内対抗戦で優勝をしている。
だから最近参加してもらうようになった2、3年生との確認をした方がいいと考えた。
「まずはツーマンセルで戦うことのメリットは1人1人では弱くても2人で協力すればより強い相手と戦ってもしぶとく立ち回れるってとこです。」
ちらちらとみんなの顔を見ながら話す。あんまり人前で話をするのは慣れないため緊張している僕。
「デメリットは2人で連携がうまく取れないと、1人で戦うのとまったく変わらないことです。その場合はせっかくこの練習につぎ込んだ時間が全て無駄になるということですね。」
ここまで話して手をあげたのはカガリ先輩だ。
「私は基本空を飛んでいるのでソロなんだが、この訓練に参加する意味はあるのか?」
ん――っと考えて僕はこう答える。
「あります。格上の仮想敵としてみんなの練習相手になってください。カガリ先輩にとってはみんなに連携させずに倒すにはどうしたらいいのか? 良い練習になるはずです。」
「なるほど。それは考えたことはなかったな。」
うんうんと言いつつ慌てて考えた理由に納得してもらって、僕はほっと安心するのだった。
代表メンバーの人には魔道具に魔法を撃ってもらって、その成績上位の人と成績下位の人でパーティ作るように頼んでとりあえず仮のパーティを組んでもらった。
あとは成績良かった人にそのパーティのリーダーになってもらった。
「さてみなさん、パーティ組んでもらいました。とりあえず今日は組んだパーティで実戦しましょう! 対戦相手は1年C組のみんなです!」
「「「まじか。あわわわわ。」」」
とC組の仲間たちから悲鳴が上がる。
「格上の先輩たちの立ち回り方、そして技術を盗めるチャンスだと思って頑張ってください! さて、それでは実戦開始です!」
と各パーティはそれぞれ戦闘開始する。
あっという間に決着がついてしまうところもある。そういうところは上級生の成績上位の人がいるパーティが多い。
中間位の成績のパーティだと割と1年生も善戦しているところもあるようだ。
C組のみんな真面目に訓練してくれてたんだなと僕は正直嬉しくなった。1対1なら1年生のほぼ負け確定だと思う。
でも今、1年生は上級生相手に善戦しているという事実。みんなの戦闘が終わり僕は内心の喜びを隠しつつ
「ツーマンセルの強み、お分かり頂けましたか?」
苦戦したり負けてしまった上級生は不機嫌そうだったけど、善戦した1年生は自分たちの成長を感じてくれていそうだった。
「僕の考えた方法を取り入れるかどうするかは個々人にまかせます。自分が必要だと思うところだけ採用してもらえばいいです。実際にどうするかはツーマンセル内で個別に話し合ってもらう感じでお願いします」
と僕の思うところを説明したのだった。
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