第7話 ゴブリン、荷馬車、オーク、冒険者 

もうすぐ森を抜けて街道、という辺りで、何かに追われるようにゴブリンの群れが走り込んできた。僕が何をするでもなく、スラとアクアが、「水刃」で首刈り合戦だ。

終わったので、魔石収納をした。

まもなく、ゴブリンどもを追いかけてきた連中が現れた。豚顔のでかい奴ら、オークが4体。それぞれが棍棒を持ち振り回しながら、ドスドスと駆けてくる、なかなか力強く、破壊力満点のようだが、それほど近づけるまでもなく今度は僕が「風刃」で、オークどもの首を狩る。威力はどう?かな、と思うまでもなく、次々に首が落ちる様子を見るだけだった。その間、スラは先程狩った、魔石を抜いた後の、ゴブリンどもを吸収、消化していた。それ・・美味いのか?


オークのところに近づきながら、オークたちを対象指定して収納空間へ。自動解体され、魔石と大量の食用肉を得て、他は、スラの食料として、スラ自身が収納していた。

僕はあまり食べないが、豚顔なので? 「豚肉}? きっと美味しいのだろう・・・と思う。

魔石は、ゴブリンの4倍くらい大きく黄色で、中の一つは、金色の異色なやつだった。


街道っぽいところに出た。舗装されているわけでは無いが、馬車がすれ違いで通れるくらいには幅広なんだろう。

街道脇の草むらを、マップ頼りに街方向へ歩いていると、後ろのほうから荷馬車が、「助けてくれ」などと叫びながら走ってくる。その後ろの方には、またまたオークが4体、ドスドスと荷馬車を追いかけてくる。

よく見れば、荷馬車の横を、冒険者風の男女が並行して走って逃げている。

「オークだ、逃げろ! 危ない・・・」なんて叫んでいるが、「助けてくれ!」じゃ、なかったな・・・

まあとにかく、僕の目の前を通り過ぎていったので、僕はオークたちのほうに向けて、風刃を4発、魔石収納。これで終わったので、オークどもの死体に向けて歩いていって全収納。今度は、金色の魔石が2個あった。またまた。、オークの食用肉がいっぱいだ。


荷馬車は途中で立ち止まって、僕のほうを向いていたようなので、なんとなく、終わった意味合いで手を振って「あっちに行け」と意思表示していたのだが・・・

なかなか、コミュニケーションは難しいようで、冒険者の一人が近くに寄ってきてしまった。

「えっと、助けてくれてありがとう?なのかな? オークどもが倒れて見えなくなったように見えたのだが・・・」

「ああ、はい、魔法で倒して、このバックに収納しましたけど・・・なにか?問題でも? あ、オーク肉が入用ですか? 差し上げましょうか?・・・」

「ああ、いいえ、そういうことでは無くて・・問題は何も無いので、・・・とりあえず、ありがとうございました。あの荷馬車の商人を護衛していたのですが、私達では、オーク4体はかなり強敵で、逃げるのが精一杯でしたので・・・ 」

「ああ、まあ通りすがりに凶暴な魔物を見た、くらいなものなので、こちらは、何も問題ありませんので、どうぞ、そのまま護衛してさしあげてください。それでは、僕もそろそろ移動しますので・・・」

「ああ、そうですね・・・ああ、あの・・・いえ、何でもありません。それでは。」

と冒険者の女性は、荷馬車に戻って行って、男の冒険者や荷馬車の商人に何やら話をして、馬車は前に動き出した。


夕暮れも迫ってきて、見れば街道の脇に開けた場所があり、数台の馬車が止まっている。どうやらここで野宿のようだ。見れば先程の荷馬車もいるようで、冒険者たちが焚き火を起こしている。あまり面倒ごとは嫌だが、先程顔合わせくらいはしたので、近くを通りがけに「ああ、先程はどうも・・・」とだけ声をかけて通り過ぎようとしたのだが、荷馬車の上から商人が降りてきた。

「これはこれは、こちらこそ先程はありがとうございました。お陰様で、怪我もなく、ここまで来ることができました。その節は、お礼も言えずにすみませんでした。」

「いやいや、どうぞ、お構いなく。今夜はここで野宿でしょうか?僕は、先に進みますので、これで。・・・あ、そうそう、オークの肉なんて必要あります? 余分にありますので、差し上げますよ・・・」

「それはそれは・・・そうですな・・・是非、お分けください。まだ明日もありますし、この護衛の方々にも食べていただきたいので・・・」

「わかりました。では、どうぞ、・・・・」

オークの食用肉の大きな塊を一つ渡す。何か驚きながらも受け取り、銀貨を数枚よこそうとするのを遠慮して、そのまま通り過ぎるようにそこから姿を消した。


「何だ、この肉の塊は? すごい、どうした? お礼は? 誰? 誰? ・・・」

何か、いろいろ騒ぎになっていたようだが、もう早々に瞬歩で姿を消した。


結局、近くで、収納内の「異空間住居」の入り口を出して入り込んで、一晩を過ごし、朝早くに荷馬車ともう一台の商人の馬車が出ていくのを見て、最後の一台の恐らく貴族の豪華な馬車の出立を見てから、誰の気配もなくなったころに出てきて、果物で朝食を済ませて、昼前には僕も出立をした。




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