遺書

伯人

第1話 遺書(1)

 僕は、何故これ以上生きていている意味があるのか全くわからないのです。僕は死にたいから死ぬ。それでいいではありませんか。生きたいと思う奴だけ生きればいい。人間は、生きる権利もあれば、死ぬ権利だってあると思うのです。誰も、生んでくださいと頼んで、この世に生を受けたわけではないのです。逆に、この世に僕を作った、両親に恨みすら感じるのです。僕は、この世界に、適さないんです。この世界の“空気”に僕は合わないんです。どこか、みんなと違うんです。僕は、感情を無くしました。感情があったなら、僕はもうとっくの昔に自殺していた事でしょう。心を殺して、麻痺させて、作り笑いが上手になりました。こんな世界でバカ笑いしている奴らと上手に付き合ってきたつもりです。でもね、僕はいつも楽しくはなかった。面白くなんてなかった。喜びなんか感じたことなどなかった。

 もう、限界なんです。この世界で嘘笑いしているのに、ホトホト疲れました。

 僕が死んでも、悲しむ人などいないことでしょう。だって、僕が作っていたのは、上辺だけの友情ですからね。僕は、人の上に立つということが、怖くて仕方ありませんでした。だから、わざと失敗して、笑われ者になりました。どうぞ、僕が、死んだ後、笑って下さい。でもね、僕にはあなた達が、本当の意味で生きているとはとても思えないんですよ。生きながらにして死んでいる。生ける屍のように思えてならないのです。僕もそうでした。ただ、呼吸し、食事して、排泄し、眠りにつく。こんなくだらないサイクルが生きるということならば、僕はその権利を放棄します。

 人の願望とは、相手を倒す事だ。殺すことだ。

 僕は自殺します。でもね、僕を殺すのは、殺したのは、あなたなんですよ!あなた達なんですよ!

 本来ならば、あなた方は殺人罪に処されて然るべきなのです。

 僕も、僕を殺すわけですので、殺人罪ですね。

 きっと、地獄という存在が実在するのであれば、僕は地獄側の人間ということになりそうです。

 ではでは、さようなら。僕の死は正しい、ただ、そう願うばかりです。

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