第28話 初体験の日々【2】
めちゃくちゃ意外だった。
あの可愛い人が冒険者。
しかも上級。
なんと、射撃の名手とのこと。
ファンタジーで定番の弓かと思ったが、この世界には銃があるらしい。
だいぶ前の異世界人の情報から作られて流行ったのだという。
物騒なモノ流行らせるなよ。
危ないだろ。
と思うが、必要に駆られてというやつだろう。
ちなみにセリューさんは昔からパルフェット様のお家で執事をしており、パルフェット様が冒険者時代には一緒にお供して支えていたという。
そんなセリューさんの性質特化は身体強化。
それを聞くと俺の魔力操作の練習になるくらいだから身体強化は基礎的な魔法で性質特化じゃないのでは? と思ったが、通常の魔力での身体強化なんて目じゃないくらいの強さを時間制限有でだせるらしい。
特にスピードが凄まじいらしく、剣が得意なセリューさんの剣さばきは目にも止まらぬ速さだとか。
何それ凄い。
でもイケメンにではなくパルフェット様に銃を教えてもらったり、セリューさんに剣術を教えてもらったりしないのか聞いてみたら……。
「俺は射撃のセンスが全くなかったみたいで母上に匙を投げられまして……。ならば剣術をとセリューに一度は指南を受けたことがあるんですが…………」
「え? どうしたの? 顔、青いけど……」
「…………セリューは人に何か指導する際は加減をしらないというか、あの恐ろしく早い剣さばきを容赦なく向けられて…………死を感じました……。本人にとっては指導向けにスピードを落としているらしいんですが、あんなのついていけるわけがない……」
セリューさんって何事も丁寧そうなのに、そういう雑なところあるのな……。
意外だ。
まあ、そんなこんなで数日は鬼ごっこやかくれんぼ、缶蹴りならぬボール蹴り、相撲などなど……。
たまにイケメンやベルトラン君も混じって俺と子供たちは遊びという名の魔力操作の特訓をいっぱいした。
鬼ごっこは分かるけどその他の遊びでどうやって魔力操作の特訓するんだよ。って思うだろ?
まあ、そこは察してくれ。
いろいろあったんだよ…………本当に……。
まあそんなこんなのおかげで、俺は何と…………。
めちゃくちゃ集中すれば魔力の必要な物を破壊せずに使えるようになったのだ!!!!
ぃやったぁああ! 一週間! 長かった!!
それでも気を抜くと、魔力がダダ洩れになって破壊してしまうので魔力制御のブレスレットは装着しておかないといけないのだが。
でも! 保護者監視下の元でなら道具を使う許可いただきましたあ!やったね!
まだまだ訓練は必要とのことでステップアップして、より細かい魔力操作ができるようにとこれまでの遊びにプラスして魔力操作が必要な物をどんどん使って慣れていこうということになった。
その初めにやってみたのが――――
「牛の……毛刈りぃ!?」
「そう! 毛刈り! もう暑い季節に入るからね。今日は家族総出で毛刈りをするから。
リン君も道具を使えるようになったし、練習としても一日がかりで毛刈りするからちょうどいいでしょ?」
今日も一日、子供達と遊びながら魔力操作の特訓するのかと思いきや、なんと牛の毛刈りをするそうな。
この領地、リッシュ領で畜産農業が盛んなのは聞いていたが、俺の勝手なイメージで牛乳などの食用系が盛んなのだろうと思っていた。
もちろんそういうのもやっているそうだが、一番の特産品はリッシュ領の牛毛らしい!
リッシュ領の牛毛は頑丈だけど加工もしやすく、なんと言っても魔力付与をするのにかなり適しており、子牛の毛だとその滑らかな肌触りと艶で各国の上流貴族や国王にまで御用達らしく。大人の牛の毛になると滑らかさや艶は劣ってしまうが、頑丈さに磨きがかかって特に冒険者に人気なのだとか。
魔力付与も様々な種類を付与できるので、本当に重宝されている高級品らしい。
何気なく、餌やりの時やたまにやっているブラッシングの時に良い毛質だなあとか思ってたけど。
超高級品じゃん!!!!
遠慮なく触ってたよ!
まあ、そんな毛刈りをするのは前の世界でも見たことのあるバリカンだった。
動力源はもちろん魔力です。
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