第9話 この世界の創生【2】



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 この世界の空間というのは、夫婦神であるカリファデュラ神とフレイヤルド神との間に一番最初にできた、カリファデュラ神の胎から産み落とされた宇宙という存在である。

 ニ柱の神との間には、次に太陽が生まれ、その次に月を生み、その二つの星が愛し合った事で次々と他の星が生まれた。


 そして次にカリファデュラ神が生み出したのは三匹のドラゴンだ。


 竜たちにとって宇宙で生きるということは少し環境が厳しかった。

 そこでカリファデュラ神は竜たちに住処を与えることに。

 数ある星の中から五番目に大きな星を三匹の竜に与え、星を与えられた三匹の竜は生まれ持った共通の力と異なるそれぞれ力をもって、星を己たちが住みやすい環境へと変えていく。

 しかし、星を変えるということは簡単なことではなく三匹の竜は苦戦した。


 そんな中、三匹の竜を生み出したばかりのはずのカリファデュラ神が、少しの時を経て新たに二匹の竜を生み出したのだ。


 そう、竜は三兄弟ではなく五兄弟だった。

 カリファデュラ神自身も驚いたが、初の多産であったため己が気づかぬうちに神体を守るために胎に宿った命を分けて育み、時を隔てて産み落としたのだ。


 こうして三匹の竜しかいなかった星に二匹の竜が加わり、三匹とは違うそれぞれ固有の力をもった二匹の力のおかげで、五匹揃ったの竜達は力を合わせて無事に星を創り変えることができた。

 生まれて初めて、一つのことを成し遂げた五匹の子らを祝福したカリファデュラ神は己の血と髪と涙より新たに一つの種を生み出しそれを与えた。


 母神に与えられた種を五匹の竜は、それはとても大事に大事に育てた。

 大事に育てられた種は、すぐに芽を出し大きくなり、巨大な身体を持つ五匹の竜が見上げるほどの大樹に育つ。

 大樹はさらに成長すると一つの花を咲かせ、次にまあるく大きな果実を実らせた。



 五匹の竜は食事というものも、そういう行為さえも知らなかったが、あまりにも香しい匂いを放つ果実に初めて齧ってみたいと思ったのだ。

 しかし、果実は一つしかなく仲の良い兄弟は争いを始めてしまった。

 これがこの世界初の兄弟喧嘩である。


 力が互角の五匹の喧嘩は長く続き、その間に放置された果実は七色の光を放ち樹からポロリと落ちてしまった。

 せっかく初めて実った果実が落ちてしまったところを見た五匹は、争いを止めて落ちた果実の周りに集まる。

 動揺し狼狽える五匹の中、一匹が恐る恐る落ちた果実を優しく持ち上げると果実はなんと、姿形を変えて一つの生物になったのだ。


 世界初の今でいう《人》というカタチに似た生物だった。


 五匹の竜が育てた大樹は、その後も様々な種族の命を生み出した。

 カリファデュラ神が与えた種は、己の命を生み出す力を分けて生み出した種だったのだ。


 その樹はのちに世界樹と名付けられた。




 この星の生物、主に獣や植物など以外は世界樹から生まれたので、その全ての魂はカリファデュラ神の子となるのである。






 そして、時は巡り様々な出来事、神話や歴史が刻まれた。

 現在もカリファデュラ神は、新たに生まれる魂も消えていく魂も廻る魂も、大事な己の子として慈しみ一つ一つを愛し守っている。










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