【完結】転生者候爵令嬢のわたくしは王女と一緒に転落するらしいですが全力で拒否いたしますわ〜公爵子息の悪夢は現らしい隣国王女編〜

宇水涼麻

第1話 プロローグ

 パールブライト王国の王都にあるブライト学園は、九月中旬から七月中旬までを一年間として三学年制の貴族学園だ。


 一応男女に分かれた寮はあるが、王都に屋敷を持つ高位貴族は通いの者が多い。


 そんな学園の今年度の生徒会には高位貴族が揃っている。ボブバージル、コンラッド、セオドア、ウォルバック、マーシャ、クラリッサだ。


 ボブバージル・ギャレットは公爵家次男。クラスメイトのクラリッサ・マクナイト伯爵令嬢と婚約しており婿入り予定。


 コンラッド第二王子はクラスメイトのマーシャ・ホーキンス公爵令嬢と婚約しており婿入り予定。


 セオドア・サンダーズは伯爵家の長男で父親は騎士団長。本人はコンラッドの護衛役。一つ下のベラ・モットレイ伯爵令嬢と婚約している。


 ウォルバック・リントンは公爵家長男で父親と同じ宰相を目指す天才だ。ボブバージルの妹で一つ下のティナヴェイラと婚約している。


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 そして、ボブバージルには秘密があった。



 ボブバージル・ギャレットは不思議な悪夢を見る。その悪夢を見た朝は目眩がひどくツライ。


 しかし、もっとツライのはそれが悪夢でなく現実になることだ。


 幼き頃には婚約者クラリッサが継母と義妹に虐められた夢を見た。


 学園の二学年だったころは、婚約者以外の女子生徒シンシア嬢と恋愛をし、婚約者を破滅に追い込む夢を見た。


 それらに、努力と友情と愛で立ち向かってきたボブバージルには、今や、婚約者、家族、友達というボブバージルの不思議な夢を信じて最悪な事態回避のための協力者がいる。


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 そして学園の三学年になって、また、ボブバージルはその不思議な悪夢を見た。

 友人で第二王子のコンラッドを誘惑しこの国の王妃の座を狙う留学生は、侯爵令嬢と言いながら実は隣国の王女殿下らしいのだ。


 ボブバージルはその夢を見た朝、兄アレクシスに相談することにした。


「兄上!」


「朝からなんだ? 騒がしいな」


「まさか、隣国の姫が留学とか来ます?」


「なんで、知ってるんだ? 今日、学園で知るはずのことだぞ。それに、王女であることは極秘だ。侯爵令嬢として紹介されるはずだが?

まさか、夢かっ?!」


 アレクシスは思い当たったことに顔をしかめた。


「はい。その王女様がコンラッドを誑かして王にしようとしていました」


 ボブバージルは今は夢を淡々と報告することしかできない。


「今日は早めに出る。支度を頼む」


「はい」


 アレクシスの妻でボブバージルの義姉のキャサリンと執事が動く。


「とにかく、コンラッド殿下とその王女を二人きりにはするな。できるだけコンラッド殿下とマーシャ嬢を一緒にしておくんだ。いいな!

それと先程も言ったが、王女であることは極秘だ。あくまでも侯爵令嬢として扱え」


 アレクシスは今できる指示を的確にしていった。さすがはブランドン第一王子殿下の側近である。


「はい」


 ボブバージルは小さく目を伏せ了承の意を表した。


「コンラッド殿下と男たちには概要を話して構わない。

マーシャ嬢には……。少し待て。

女性同士だ。イヤな先入観を持たれても外交上困ることもあるからな。

あとの対策はこちらも用意する」


 アレクシスは急いで王城へ向かった。



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 パールブライト王国の隣国であるケーバルュ厶王国の王城執務室の一室ではご令嬢の一人が眉を寄せていた。


『肌はくすみそばかすだらけで眉は太く美人とは程遠いわたくしに隣国との縁を結べとは随分と無理を言いますこと……』

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