第2話 初めての友達


「ここが、リーヴェルシュタール……!自然豊かでいい所!人も全くいない!心が休まるまで人は呼ばなくてもいいや」



私は、今日からルーナと名乗る事が許された。神様からの意向とあっては、覆すことは難しい。


「家の前に立たされているって言うことは、正式にもてなされたってことかな?」



逆に、神様が招いたから、そうでなかったら修羅場になる。


世界渡り(※1)の観光客は、ちゃんと、世界と世界がやりとりをしているため、安全な場所に届けられる。しかし、違法な方法で世界渡りをした人達は、森の中や海の上、山の中でクマの巣に近いところに転移した人もいたそうだ。


ところで、家はたっているけれど、他の建物が見当たらない。ということは、1から自分でやらなければいけない。



「とりあえず、家に入ろう」



家の中は、1人分の家具が置いてあった。必要最低限の家具があり、2階建てだった。1階は、キッチン、食事をするダイニング、お風呂、研究室(※2)とトイレがあった。2階は、寝室だけらしい。


基本に忠実な部屋構成だった。まあ、ごちゃごちゃしていない方が、分かりやすいから不満はない。



「日が暮れるまで、森の散歩行こうかな」



研究室に地図があって近くに森がある事が判明したので、森の散歩に行ってくる。


森は、危険な動物が出てくるらしい。力を持たない者は、それに倒されることもある。しかし、私はその事を知っていながら、森の散歩に来た。


理由は、私のパシファティが本物か知りたかったから。


そして、目的地についた私は、パシファティを試して見る。まずは、時を止めることだ。


木の葉が風で揺れていたので、パシファティを使った。そうしたら、木の葉が止まってしまった。まさか本当だったなんて。


他にも、全部のパシファティを試したが、全部成功した。空間移動することもでき、世界を拡張することもでき、パンを想像したらパンが出てきた。これは、革命が起きそうなくらいすごい。



「そろそろ、帰ろうかな」



私は、ある程度パシファティの確認をしたので、帰ることにした。そこでようやく、気がついた。



「!狼が……襲われている?!」



名前も分からない狼が襲われていた。狼を襲っている動物は、デッドリーベアという大型の魔物だ。



(どうしよう……。このままだと、狼が殺される……)



狼は吠えているだけで反撃しない。足を怪我しているようだった。


私は、神様がアイテムボックスに支給されたものを確認した。武器は、ナイフとやりの2つがある。


私は、やりを勢いよく投げて、空間移動をさせた。空間移動の出口は、デッドリーベアの頭付近だ。やりは勢いよく、デッドリーベアの頭に刺さった。



「ガァゥッ」


「よし」



デッドリーベアは、そのまま息絶えた。私は、狼の方に駆け寄った。狼は、新たな敵だと思い、私を威嚇した。



「グルルルル」


「もう大丈夫だよ」



しかし、威嚇は収まらない。仕方がないので、お肉を出して餌付けする。すると、お肉を食べ始めた。この間に、狼を担いで自宅まで戻る。


自宅で、狼の足の治療をした。大人しく、お肉を食べて治療を待っていた狼にありがとうと言った。


3日後。狼を野生に返そうとしたら、この家についてしまった。だから、私はこの家に住ませることにした。


この世界、リーヴェルシュタールで初めての友達ができた。それは、デッドリーベアに襲われていた1匹の狼だ。



‪ஐ‬‪ஐ‬‪ஐ‬

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‪ஐ‬用語解説‪ஐ‬

※1世界渡り 観光業。世界と世界を繋いで渡る事ができる。共通通貨だと安くて済むから値段は統一されている。

※2研究室 どの家にも、設置しなければならない重要な部屋。ここで治療などを行う。

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