第4話
「あれ……?」
私は少し不思議に感じた。せっかく雨宿りの仲間だと思ったのに、なぜ逃げてしまうのだろう?
そもそも彼女は、今の私から見れば若い女性だが、当時の私にとっては大きなお姉さんであり、立派に大人の女性だった。それが子供の私に対して一瞬とはいえ怯えるのも、泣いている姿を見せるのも、大人らしくない態度に思えたのだ。
「でも、僕みたいな子供を怖がるわけないよね。じゃあ、見られちゃいけない姿を見られて、恥ずかしかったのかな?」
口に出して呟いてみると、それが正解に思えてきた。
ならば彼女の「見られちゃいけない姿」とは、いったい何だったのか。
単純に考えれば、大人なのに泣いていたという点だろう。しかし子供特有の突飛な発想で、別の可能性が頭に浮かんできた。
「あのお姉さん、もしかして、人に見られちゃいけない存在だったのかも!」
実は人間ではなく、精霊みたいな存在だったのではないか。
そう考えると、なんだかワクワクしてきた。
「きっと
子供の頭の中では、そのように理屈づけされて、話が繋がっていく。
考えているうちに、ちょうど偶然、夕立も上がった。
私は
「ほら! 泣いてた精霊さんが出てっちゃったから、雨も終わったよ!」
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