第4話
1063年10月28日。僕は魔法による恐怖を知った。
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ダンと別れた後、準備を整え隊列の中に入る。
手は震えていない、力もしっかりと入っている。
そして、覚悟も既に決まっている。
「生きよう」
僕は生きるため、彼らを殺す。
「それでは諸君!これから敵へと突撃する!」
「魔法がなんだと言うのだ!諸君の勇気に比べればちっぽけな物だ!」
「諸君の覚悟を王に見せつけよ!」
「全軍突撃せよ!」
今日もあの大男が号令をかけ、そして動き出した。今日は昨日と比べて体が動かしやすい。2日目だからか少し慣れてきたのかも知れない。
今日の開戦の合図は魔法によって起こり。
それは同時に撤退の狼煙となった。
突然の爆炎。
数百人が一気に死んだ。
そして、僕も巻き込まれた。
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何が起こったか分からない、突然の爆炎で訳がわからない。どうやらかなりの時間気絶していたらしく辺りが薄暗い。体は少しだけ痛いが、爆炎に巻き込まれたと思えば奇跡なほどに軽傷だった。
「と、とりあえず起きて戻らないと」
その時、足音と話し声が聞こえてきて起きあがろうとした体が咄嗟に伏せた。
「おい、こんな事して本当に良いのかよ」
「良いだろう別に、戦争してんだからこんぐらい奪っても別に大丈夫だ」
「それに敵兵の奴等のだぜ?慈悲なんかいらねぇよ」
どうやら二人組の敵兵だ、死体から物を剥ぎ取ろうとする不届き者らしい。
なら、遠慮はいらない。
「おい、こっちに綺麗な状態の装備があるぜ」
「そうか、こっちも良いものがある。さっさと剥ぎ取って帰ろう」
二人が別れたこちら側に近づいてきた。
そこを。
「さぁーて綺麗な死体ちゃん、その鎧貰ってくね」
男がそう言って手を伸ばしてきた所で、近くにあった剣を手に取り喉に突き刺した。
「な」
そしてそのまま首を刎ねた。
ボトッ、という音と同時に首が転がる。
「おい、どうした」
もう1人の男もやってきたので斬りかかる、咄嗟の事だったので反応出来なかったのかすんなり斬られてくれた。
「はぁ、はぁ」
2回目の戦いはすぐに決着がついた。そう思っていた。
「燃えろ!」
突然発せられた言葉に驚きそちらを向こうとした、しかしそれが間違いだった。
「ぐあっっっ!」
振り返りざまに火球が飛んできて吹き飛ばされる。
そう、元々3人組だったのだ。もう1人は別行動をしていただけだったらしい。
「このクソガキが!」
そう言うとその男は僕の腹めがけて蹴りを入れた。
「ぐえっ」
その衝撃に思わず変な声と吐瀉物が出た。
「汚ねぇガキが!ハンスとテルを殺しやがって!」
「ぜぇ、ぜぇ」
上手く呼吸ができない、息を整える前にまた蹴られる。しかし、それでも。
「おらっ!て、え」
「何しがみついてんだ!離れろ!」
「ぐっ」
男の脚にしがみつき耐える、イメージができるまで。
「離れろクソガキが!」
力強く。
「なんだよお前!」
ただ力強く。
「なんなんだよ!」
燃え上がれ!
「燃えろ!」
その時、僕にとっては太陽のような火が。敵にとっては地獄の火が上がった。
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