少年兵は夢を見ない
乙女サリイ
第1話
新暦1063年10月19日。僕が12歳になったその日、僕は家族と別れを告げた。
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「おい!貴様だけ遅れてるぞ!」
「は、はい!すいません!」
僕が家族と別れを告げて一週間が経った。
一週間前、僕は12歳になると同時に鎧を着せられ。
村へやってきた軍の奴等によって戦場へ向かう事になった。
「はぁ」
戦場へ向かう道中は基本的に徒歩だ。しかも休憩は全くと言っていいほど無く、有っても10分20分程度で正直かなり限界に近い。
「おい、大丈夫か。少しぐらいなら荷物を持ってやれるがどうする?」
「ありがとう」
僕はそう言って彼、アンスに盾を渡す、これならまだまだ歩けそうだ。アンスとは4日前に出会った。
彼が焚き火を起こすのに苦労してた所に僕がアドバイスをしに行った、それが僕らの出会い。彼は僕と同い年らしいが僕より10cmも高いらしく力も強い。
「ねぇアンス、後どんくらい歩けば着くと思う?」
「恐らくあと数分で着くんじゃないか?」
「俺の地元が戦場からかなり近かったからな、そこから3日程歩いたんだそろそろ着く頃だ」
「そっか」
そこから数分後の現在、僕達は戦場へとたどり着いた。
「ここが、戦場」
「あぁ、そのようだな」
僕とアンスは、いや多分周りもだろう。その酷い光景を見て言葉が出なかった。そこら中に死体が転がっており、時折呻き声が聞こえてきた。
「それでは武器を支給する!各自並んで受け取れ!」
「「「「はい!」」」」
僕達がその光景に息を呑んでいると唐突に言われたので急いで返事をした。
「それじゃあこれが貴様の武器だ、大切に扱え」
「はい!」
大きな返事をしてから僕は武器を受け取った。そして受け取った武器をまじまじと見る。それはただの槍だった。ショートスピアと言うのだろうか、他とは少し短いが取り回しやすそうで少し安心した。
「アベル、お前はどんな武器を支給されたんだ?俺はこのハルバードという物らしいが」
アンスは後ろから話しかけてきて僕に受け取った武器を見せてくれた。僕のショートスピアよりリーチが長く、攻撃力も高そうだ。
「僕はショートスピアだったよ。というか、君の武器僕のより良いものじゃない?」
羨ましいという眼差しを彼に向けながらそう言った。とりあえずその日は支給だけで解散との事だったので僕はアンスと共に宿舎へと向かい寝る事にした。
明日への不安と戦場への恐怖のせいでよく眠れない。
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