第62話 【閑話】 未来
結局、僕は自分の家の近くのマンションに住んでいる。
このまま家で暮らしても良いが、この人数じゃ手狭だから...
しかも、マンションを購入しようとしたら、二条家の方で用意されてしまった。
タワーマンションの最上階で12LDKって何だこれ...
正直言って、僕はこの世界で何一つしていない。
後を継ぐ領地や地位も無い..ただの高校生に過ぎない。
だが、それを言うと...
「うちの道場を継げば良いだけだわ」
「私と事実上結婚したのですから、お父様の会社かおじい様の組を継げば良いのですわ」
「二条の会社の子会社なら明日から社長です...頑張り次第で二条の総帥も狙えます..あとお母さまが顧問にって」
此処でも詰んでいた。
僕の体の中には今でも聖剣も聖なる盾も居る。
そして、その能力は使えるが、この世界には魔王は居ない、表向きは凄く平和な世界だ..
この世界には魔王が居ない...魔王が居ないから..勇者も存在できない。
あの後、僕の所に警察が来て、任意同行を求められた。
破壊されたビルや岬の近くの防犯カメラに僕が映っていた為、詳しく聞かれた。
仕方なくとぼける事にした、その結果、1日だけ泊まる事になったが...
「すみませんでした、釈放です」
あくる日には釈放された。
僕を迎えに鉄心さんが来ていた。
「儂はこう見えても警察や自衛隊にも指導で招かれる事もあってのう」
「ありがとうございます」
「いや、簡単じゃよ...鉄骨を斬れるような者や大地を切り裂く様な者がいる訳ないじゃろう..そう言ってやったわい」
この世界の常識じゃ僕が行った事は誰にも出来ない。
誰にも出来ない事は、立証できない。
だから、起訴すらしようがない..そういう事らしい。
「最も、儂は信じておらんよ! 翼殿なら、斬れると思う..だが言う必要はあるまい」
「そうですね...有難うございます」
「うむ、その代わり、心美にも言わんから、儂にだけこっそりと見せてくれんか?」
「仕方ない...鉄心さんには今度お見せします」
「ほう、やはり出来るのじゃな?」
「ただ、そう簡単には出来ませんので暫くしてからで宜しければ」
「あい、解った」
季節は流れて僕は46歳になった。
妻たちの実家の力は借りたくないから、別の道を探して政治家になった。
そして、今現在は若くして総理大臣になり、派閥も持っている。
だが、実際は裏で妻たちの実家が暗躍していた様だ...
所詮、僕が一人で成した、そうは言えない。
僕は政治家になった時の公約..一夫多妻、一妻多夫の法案を通す事に成功した。
人は僕を優秀だと言うが..僕はそうは思わない。
何故なら、本当の翼は勇者だからだ..
そして、僕は伯爵家を守る..元々そういう人生だった。
そう考えたら、元の人生とそうは変わらない。
「総理、総理が強硬な事ばかり言うから、とうとう某国が核ミサイルを発射しました..迎撃しても多大な被害がでます」
「そうか..」
「そうかじゃありません..直ぐにご命令を.」
「要らないよ..僕が喰いとめるから」
「何を言っているんですか..頭が可笑しくなられたのですか?」
「大丈夫だよ..ここは任せる..」
「総理、、何処に行くのですか?..」
「天空院 翼って総理だけじゃない..勇者なんだぜ! 核ミサイル! そんな物簡単だ!」
僕は、体の中から、聖剣と聖なる盾を取り出すと走り出した。
勇者の翼が魔王を倒し世界を救ったなら...
僕は、核ミサイルからこの国を守って見せる..
これで僕は、君の足元にようやく追いつけたのかな..
「まひる、何を呑気にしているの..不味いですわよ..」
「麗美さんも第一婦人ならどっしり構えていれば良いのよ」
「核よ核..あんな物...どうにもできないよ」
「だったら教えてあげるよ..お兄ちゃんじゃなかった、私達の旦那は勇者だもん、核なんかどうにかしちゃうから大丈夫だよ」
「「「「「勇者!」」」」」」
「うん、だから気にしないでショッピングに行こう!」
「まひるさん、翼くんの何を知っているのかしら?」
「それはお兄ちゃんに聞いて、心美さんも奥さんなんだから」
「本当に平気なの?」
「多分」
《何で総理大臣がコスプレして走っているんだ》
《核の恐怖で気が触れたのか..終わりだ..》
「大丈夫、僕がきた...安心しろ」
僕は聖剣を核ミサイルに向けて思いっきり振った。
FIN
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