【石のやっさん旧作】異世界からの転移..全てを失ったけど...幸せだ!

石のやっさん

第1話 全てを無くしました

「はははっ 全部無くなってしまった」


僕の名前はセレナ、トリスタン。


トリスタン公爵家の三男に産まれた。


よくある、家督争いもなく二人居る兄も末っ子の僕には優しい。


しかも冷や飯食いでもなく、叔父であるスタンフォード伯の家に子供が居ないから養子に入る事が決まっている。


それだけじゃない、何と僕の婚約者は美姫と名高い、ジョセフィーナ姫だ。


ジョセフィーナ姫は末姫だから王家の家督権は無い、だから正式に結婚した時には僕と一緒にスタンフォードを継ぐ事になる。


毎日が楽しく、毎日が幸せだ...こんな日がこれからも、これからもずっと幸せが続くとそう思っていた。


だが、この幸せは...ある日、全部終わってしまった。


勇者によって全てが壊されてしまった。



魔王が復活して魔族が魔国に集まりつつあった。


そこで、各国の王が話し合いの結果、聖王国が古に伝わる勇者召喚を行う事になった。


そして伝説に伝わる光の勇者、天空院 翼が召喚された。


翼は魔王討伐を引き受けると、1年もたたずに魔王を倒し帰国した。


聖王国にて叙勲がされ、約束が果たされる時が来た。


勇者との約束、それは魔王を倒したなら「望みの物を与える」そういう約束。


「勇者よ、さぁ約束だ望みの物を何でも与えよう」


「そうだな..まずは」


そして勇者が望んだ物の一つにジョセフィーナが入っていた。


こうして、僕は婚約者を失った。


《相手が勇者じゃ仕方ない...世界を救ったんだ》


彼がこの世界にしてくれた事を考えたら..諦めるしかないんだ。


僕は身を引くしか無かった。


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