第40話 お金と皆殺し

家に戻ってから戦勝報告をした。



「どうだった、上手くいったの?」


サナが心配そうに話してきた。


「まぁまぁ上手く言った方だと思う」



「あの...礼二さん大丈夫でしたか?」


「大変な事になりませんでした? お任せして本当にすみません」


2人とも体が震えていた。



「うん、結構うまく言った方だと思うよ...だけど、こんな金額じゃ地獄を味わって腕まで無くして歩けない二人には全然足りないと思う、ごめんね」



「金額なんてどうでもいいよ、礼二さんが私を助けてくれて、彼奴に立ち向かって分捕ってくれたんだから、それで充分!」


「そうだよ、彼奴が捕まっただけで、本当にせいせいしたんだよ、だけど礼二さん危ない事しないで、礼二さんが死んだら私は生きていけません」



2人とも目を潤ませながら僕を見ていた。



「それで幾ら貰ったの?」


サナの一言で感動話は飛んでいった。うん。



「三浦さんと湯浅さんはそれぞれ10億円、あっ額面は10億だけどシバータさんに1割払うから9億円、だけど税金がそこからとられるから、半分位で考えた方が良いと思うよ? だから手取り4億円位って考えたら良いんじゃないかな」



「あの、あの10億円ってあの10億円」


「えーと、それは日本のお金換算で良いっていう事ですか」



「そうだよ、これで何時でも、やりたい事出来るし、生活に困らないよね」



「あの、それはもしかして、私にお金ができたんだから生活に困らないから出ていけって事なのでしょうか?」


「そんなぁ...そう言う事なの...」



「違う、違う、僕は二人と一緒に居られて凄く嬉しいし、そんな事無いから、ただ自由に生活する選択がある、それだけだよ」



「あれっ、真理ちゃん、よく考えたら私達って奴隷だったよね?」


「そうだよ陽子ちゃん、私達って奴隷だよ、いやぁ忘れてたね~」



「二人ともそんな風に思って無いから...何言い出すの?」


僕はそんな風に思ってない。



「奴隷の物は全部ご主人様の物ですよ」


「そうそう、その代わり、ご主人様には奴隷に関してお世話をする義務があるんですよ」



「だから、僕はそんな風に思っていないから」



「お金はぜーんぶ礼二様にあげます、だってそれは礼二様が買ってくれなければ手に入らなかったし、今頃死んでいましたからね、真理ちゃん」



「そうですよ、だから私も全部上げますよ、だから、ちゃんと私が死ぬまで責任もってお世話して下さいね」


まぁ良いや、介護施設、そんな感じで世話をして行けばよいか。


お金は別けておいて彼女達が本当にやりたい事、したい事が出来た時に使えば良いよね。



「気持ちは解ったよ...ただこのお金はそのまま貯金して置くから、使いたくなったら何時でもいってね」



「それはもうあげた物だから、私はもう忘れました」


「私もです」



これ以上言っても無駄だな。


「とりあえず、これは預かっておくよ」



「あっそうだ、それなら私の介護費用の対価として払います、だって私多分死ぬまでお世話になりそうだから」


「そうだね、それなら受け取って貰えるよね、その代わりお婆ちゃんになっても面倒見てよね」



こう言われたら受け取らないと不味いか...


2人とも確かに頑固だからな。



「そう言う事なら受け取らせて貰うよ」



「「はい」」






それから数日後、慰謝料は無事口座に振り込まれた。


ギルドの職員曰く、商業ギルドや冒険者ギルドに預けてあったお金全部に、自慢の魔剣、そして足りない分はダモンに委任状を書かせて、ハルテンの領地から金品を含み全部徴収してきたそうだ。


「まぁ、まだハルテンに居る部下たちは、ダモンが捕まっている事を知らないので素直に何でも差し出しましたよ。ハルテン男爵の資産もダモンの物になっていたし、奴隷売買のお金まで全部徴収しました、土地家屋も差し押さえしましたから、もう財産はほぼ無いでしょうね」



「それでダモンは?」


「もう死刑になりました」


「えっ? どうしてですか?」


幾らなんでも死刑になるのか...示談が終わっているのに。


無期懲役とかじゃないのか...


「礼二さん言っていたじゃ無いですか《ぞの男はかなり危ない事をしているので周りの人間もしっかり取り調べ、裁きお願い致します》って調べたらハルテン男爵を奴隷にして売り払い、その領地を奪っていまして、そしていつかはこの国を自分達の物にするんだと、ダモンは言っていたそうです、しかも、その先の帝国にも通じていたそうです」



「それで死刑ですか?」


「はい、日本に直すと、県知事を捕らえて人身売買をして沢山の人間を殺しました、そして県を乗っ取り、将来は国を自分の物にするんだという宣言までしたそうです、国家転覆罪、そして他国と繋がっていたから「外患誘致罪」が適応されます、まぁ「内乱罪」とどちらにするか揉めたらしいです」


「国家転覆罪?」


「えーと、この罪は死刑しかありません、それに牢屋も足りなくなるかも知れないので」


「ダモン一人でですか?」


「いえ、国家転覆罪、扱いですからハルテン領の人間ほぼ全員が対象です、まぁ仲間になる人間以外は、全員皆殺しにしたか奴隷として売ったとダモンが言っていましたから、全員が容疑者です、今朝、王国軍に招集をかけて、皆殺しにする為にもう向かったそうですよ」



「まじ、ですか」


まさか、こんな結末になるなんて僕は知らなかった。


日本凄い。



(法律は作者は素人なので矛盾点はお許し下さい)




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