第18話 【閑話】王宮 幸せ異世界人 (表)

約束の2週間が経った。


今現在、最初に去った礼二、その次に出て行った緑川、平城を含む7名、合計8名以外の27名は王城に残っていた。



此処には、国王エルド6世、王女マリン、ローアン教皇他教会の関係者に貴族迄集まっていた。



国王エルド6世が口を開いた。



「さて、今日で約束の2週間たったが、どうするかは決められましたかな?」


不安そうな顔で転移者たちは顔を見合わせた。


ついで王女マリンが口を開いた。



「まず、私から説明させて頂きます! 皆様が死後の世界についてはご存知ですか?」



「何、それ...死後の世界なんて」


「ちょっと、待って此処は女神様の居る世界なんだからあるんじゃない?」


「確かに神様が居るんだからあるんだろうよ! 聞こうぜ!」



「有難うございます! まず、貴方達は女神の御使いとしてこの世界に現れました! だから、死後の世界では、貴方達の話で言う天国行きが確定しています! そこはありとあらゆる夢が叶った世界なのです! 生きている間は「女神の戦士」と扱われ、死後は天国での生活が約束されている、貴方達の神はそんな約束してくれますか?  イシュタス様はそこまでの約束をして下さったのですよ」



「嘘、本当にそうなの? 死んだ後も天国に行けるの?」


「そんな約束もされているのか?」



「勇者である祥吾様如何でしょうか? 生きている時の保証もされ、死後の面倒も見て下さるし、そして天国から転生して生まれ変わった後も成功を約束してくれている女神様をまだ許せないでしょうか?」



「それは本当なのか?」



「はい、特に勇者である祥吾様は、先々神にすらなるかも知れません..そこまでの約束がされています」


「それをちゃんと説明して欲しかったな! なんだか喚いていた俺が馬鹿みたいじゃないか、俺は口が悪い! ローアン教皇様悪かったな...」



「良いのですよ! 貴方は勇者様なのですからお気になさらずに!」


「そう言ってくれると助かる!」



「他の皆さまは如何ですか? この国は一神教ですが、貴方達には、女神イシュタス様が未来永劫の幸せを保証して下さっています! もし前の神様との繋がりが薄いのであれば、イシュタス様を信仰して頂けませんか?」



「そうだな...女神様にこれからもお世話になるんだ..俺は信仰するよ」


「俺も」


「僕も」



「有難うございます...全員が信仰なさって下さるなんて...父もこのマリンも感謝しかありません」



「色々とありましたがお互い水に流しましょう、教会は貴方達、異世界の戦士に協力を惜しみません」



「それでは皆さん...全員が残る、そう言う事で宜しいでしょうか?」



「俺は残るぞ!」


「私も」


「俺も」




「皆さん本当に有難うございます! 此処からは本当の意味でこの国の仲間と思い接させて頂きます! これからは残って下さる方への提案です! 王宮では「勇者様」「聖女様」「剣聖様」の支援を中心にさせて頂きます! 「賢者様」が居なくなってしまったのは残念ですが...そしてその他の方は貴族の方で支援させて頂きます」



「ちょっと待って下さい...それは王たちは僕らの支援をしない...そういう事ですか?」


「違いますよ! 各地域でも魔族の進行で困っているのです! そこで各貴族の方から、救世主が欲しいという話が来ているのです...そして各貴族の方々が、子息や子女を連れて此処に来ています、その方達は貴方達のこれから戦うパーティーメンバーなのです!」



「パーティーメンバーであり...将来は婚約、なんて事もあり得ますよ? 半分お見合いだと思って頑張って下さいね...さぁ大広間に行きましょう!」



此処には貴族の子女が多く集められている。


しかも、最低でも男爵階級以上の本当の貴族達の子息子女。




「初めまして 異世界の戦士様、私はキャロラーユ子爵の三女コーマと申します...お話ししませんか?」


「えっ僕ですか?」


「はい、戦士様、お名前は何とおっしゃいますの?」


「えーと水野春樹と申します」


「春樹さまですか? 凄く綺麗な目をしていますね」




「マドモアゼル、私はロードマン伯爵家の四男スポークと申します...少しお話ししませんか?」


「マドモアぜルって、あたあたしの事?」


「そうですよ、マドモアゼル他に誰が居るっていうんですか?」



1人の異世界人に数人の貴族の子女、子息が群がっていった。




「えーっ、これって1人を選ばないといけないんですか?」


「はい! 順子様...私を選んではくれないのですか? 私はどうやら貴方に一目惚れしたみたいだ..将来」


「ちょっと待ちたまえ! 順子様は私が幸せにするのだ」


嘘でしょうこんなイケメンが私を取り合って喧嘩しているなんて...もしかしてこれは私が主人公の話なのかな!




「ちょっと待ってくれ...あれに俺たちは参加出来ないのか?」


「勇者様達も参加した方が良いかも知れませんね! それぞれ上限2名づつでパーティーに誘うのも良いでしょう! 行ってらっしゃいませ!」


「「「はい」」」





「こんな、素晴らしい事があるなら来て良かったわ」


「本当にそうだな...この俺がこんなにモテるなんて」



パーティーは2日間続き。


それぞれが、各貴族に引き取られて行った。


引き取られていった異世界人は誰1人として不安そうな顔はしてなく幸せな笑顔だった。


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