大学におけるお弁当という方向性

バブみ道日丿宮組

お題:信用のない昼食 制限時間:15分

 大学の授業中、今日の昼食は何にしようかと考えてると、彼女がつんつんと腰をつついてきた。

 その顔を見れば、少し照れがある。

 どうしたのと聞けば、今日の昼食は作ってきたという。

 それで一緒に食べないかと。

 手作り弁当。

 知らないイベントだった。

 あっけにとられ、しばしの無言。

 もっとも授業中であるから、小声でありがとうと伝える。

 彼女は顔が真っ赤になった。

 可愛いなぁと思いつつ、これ以上いじったら急に立ち上がって、外を走り出しそうだと黒板へと視線を向け直す。

 まぁ教授はプリントとして配ったことしか話してないので、黒板には何も書いてない。

 まじめに聞いてたわけじゃないから、今どこらへんのことを話してるのかもわからない。

 大教室は生徒たちの話し声でざわついてる。

 教授はマイクを使って、スピーカーで話してるので、ちゃんと聞こうとすれば聞ける。同じ言葉をプリントで探し、目を向ける。

 難しい日本語が並んでた。

 この授業は出席さえしてれば、落とすことのないものだ。

 出席は壁に取り付けられたカードリーダーで出席を取る。だから、教室にいなくても出席となる。それでも、教室内は生徒が8割埋まってる。

 まじめなのか、ふまじめなのか、わけがわからない。

 その一人でもある僕にもその答えはわからない。

 授業終了のチャイムがなると、彼女の手を取って中庭に向かった。

 彼女はひかれるがままについてくる。教室を出る前からそうだったので、友だちに昼食はと聞かれて、今日はパスと応えてた。

 いざ二人きりの昼食へ。

 ベンチに二人で座ると、彼女が弁当箱を取り出して渡してくれる。

 開けていいと聞くと、静かに彼女は頷いた。

 さぞかしいいものがあるのだろうと思ったが、そこにあったのは白だった。

 えっとと彼女に次を求めた。

 だって、白米しかないのは昼食にはならないだろう。

 彼女は頑張って炊いたんだと話してくれた。

 いや……そうじゃないだろう。おかずはどこに?

 彼女は自分の分のお弁当箱を開くと、そこにはカラフルなおかずたちが存在してた。

 どういうこと?

 なにを疑問に思ってるのという感じで彼女はこちらを見てくる。

 あれか。白米に見えて、この下にぎっしりとおかずが隠れてるとか……?

 受け取ったものを返すのは礼儀としていけないと思ったので、いただきますと箸を進めた。

 もちろん、白米以外はなかった。

 味は悪くなかった。彼女が作ってくれたという愛情があったためかもしれない。

 でもと、意見をする。

 今度はおかずも作ってきてほしいなと。

 彼女はわかったといって、食べかけのおかずを今回は少しくれたのであった。

 そうするなら……僕の分も作ってきてほしかったな。

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大学におけるお弁当という方向性 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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