第49話

「日が暮れそうだな……帰るか……目的の物はそこそこ手に入ったしな……」


「「はーい」」


 俺達は街に戻る為に歩き出す──



 はぁ……疲れた……。


 何が疲れたかって?


 そりゃー、『鑑定』と無駄な争いをしたからだ……。


 いちいち邪魔してきやがる……。


 探す労力に比べたら全然楽なんだが……イラッとするんだよな。


 まぁ、お陰でけっこう手に入った。


 その数なんと100本だ!


 一つの群生地でもここまで取れないだろう。



 ピコンッ


『崇めたまえ』


 ありがとよッ!



 お陰でマイとティナからの好感度爆上がりだよッ!


「さすがエルク様♡」


「エル兄さすが♡」


 って言いながら抱きついてくれて気分が凄く良いぜッ!




 さて、これで薬1000人分か……。


 明日からは『分身』スキルで捜索範囲を広げよう。


 6人分で100本なら薬6000人分だ。


 予想通り集める事が出来れば『病魔』を殺せなくても『石化病』の発症率を上回って沈静化出来るかもしれない。


 ただ、問題は──


 薬を作れる薬師がどれだけいるか──だな……。


 こんな事になるならロッテを仲間にしときゃー良かったか?


 いや、ダメだ。魔契約を発動する可能性が上がるだけだな……。



 おっと、『索敵』に反応あり。


 魔物だな。


「2人ともオークだ。少し数が多いがいけるか?」


「「余裕!」」


 今日の俺はほとんど戦闘はしていない。全て2人に任せている。


 俺がやるより、早いからな……。



 俺は今日の分の【祝福ログインボーナス】でもするか。



 今日は何が当たるかなぁ〜っと。



『おみくじ』


 と文字が表示され、目の前に折り畳まれた紙が6枚出現する。


 また新しいな……おみくじか……運試しのやつだったはずだ。



 ピコンッ


『今回は全てスキルが当たるようですよ? 紙の中にスキルと運勢が書いてます』


 マジかッ! スキル確定とか嬉しすぎるじゃねぇか!


 運勢とか嫌な予感しかしねぇけど、ありがてぇなッ!


 もしかしたら『病魔』との戦闘もあるかもしれないからスキルは助かる。


 きっと、それを見越したスキルが貰えるはずだ。



 ふっ、また俺の真の実力が解放されるのか。



 ピコンッ


『戦闘系じゃないスキルも半分ぐらい入ってるっぽいよ? 例えば『調合』とか』


 ……まぁ、ロッテを頼らずに薬を作れるのは当たりと言えば当たりだろう。むしろ、薬師ギルドがまともに稼働していないとなれば大当たりだと思う。


 しかし、薬なんか作れる気が全くしないんだが……。



 ピコンッ


『仮に『調合』スキルを得たら『無限収納』との合わせ技で薬が勝手に収納内で出来上がりまっせ?』


 なにそれ!? 凄く便利じゃん!?


 それなら、めっちゃ欲しいんだけど!?


 これは──来たな……。


 俺の時代が今度こそついにッ!


 これさえ当たれば俺はエルドラン王国の英雄決定だぜッ!


 戦闘系スキルならもっと嬉しいけどなッ!



『病魔』など恐るるに足らんわッ!



 久しぶりに物欲センサーMAXだッ!




 俺は1番左の紙を手に取って開ける──



「…………へ?」


 書いてる中身は──



『【凶】:待ち人来ず。負の連鎖が起こる。これから困難に見舞われるであろう。即決、即行動を心掛けるが吉。そんな貴方にはユニークスキル『マップ』が相応しい。運勢をUPするには訓練が良いでしょう』



 …………まさかの凶!?


 これって神様からの予言みたいなもんじゃねぇの!?


 これ、最悪のケースもあるって事なんじゃ……。


 アドバイスもあるがアバウト過ぎる……迷うなという事はわかるが……。


 運勢UPの為に訓練しろとある……これは自力で道を切り開けという事か?


 このスキル『マップ』もよくわからん……ユニークスキルという事はかなり良いスキルだと思うんだが、どう考えても戦闘系ではなさそうだ。


 神様はこれを使って危機を乗り越えろと言っているのだろうか?




 戦闘系スキルか『調合』が手に入ると煽てられたから意味のわからんスキルが当たって凄くテンションが下がったんだが?


 こんなもん使えるのかよ……。



 ピコンッ


『相変わらず引きが弱いな(笑)』


 お前が煽てたんだろうが!?


 このぬか喜びをどうしてくれるんだよ!?



 ピコンッ


『まぁ、待て待て。『マップ』もかなり便利だぞ? 地形とかもわかるし、探したい人の名前を思い浮かべれば発見出来る。人探しとかも簡単だぞ? 今のお前に必要だろう?』


 おぉ、それは便利だな。


 なら、さっそく『病魔』カインを探すか──



 …………しばらくしても地図だけが目の前に表示される以外は何も変化がないんだが?



 ピコンッ


『見た事ない奴なんか検索出来るわけねぇだろ(笑)』


 おまっ、そういうのさっさと言えよな!?


 すげぇ期待したじゃねぇかよ!?



 ピコンッ


『笑わせてくれたから、少しレクチャーしてやろう』


 こいつ──やっぱすげぇ、腹立つわぁ……。



 マイ達の戦闘が終わるまで、こいつから『マップ』の使い方を簡単に聞いた。


 このスキルは簡易地図を出して敵や仲間がどこにいるか把握する事が出来るスキルで『索敵』の上位版だ。


 さっき言ってた検索機能もあるが、見た事ある物や者などしか捜索出来ない。


 一度使ってみたら、周辺の地図が表示され、マイ達は青色、魔物は赤色、それ以外の生き物は黄色に光っていた。


 というか黄色の反応が多すぎてチカチカして見づらいので設定で仲間と敵だけを表示させるようにしておいた。




 他にも何か出来ないか『マップ』の設定を確かめていると──



 ピコンッ


『遊んでないで、お前も戦闘した方がいいぞ? ナニが使えない夜だけの最強とか意味ないだろ(笑)』


 水を差された。


 こいつが目の前にいたらぶん殴りてぇ……。



 確か『おみくじ』でも訓練しろとか書いてたな……。


 神様が言うぐらいだからな……次からは俺も戦闘に参加するか……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る