祝福された冒険者は平凡を望む〜毎日が"エロくてハード" なSランクパーティを力不足なので抜けたら元パーティメンバーや元いた裏組織が放っておいてくれない件。責任取れ?体が持たないので勘弁して下さい〜

トロ

第1話

 俺は15歳になり、冒険者になった。


 自慢じゃないが、俺はそれなりに強いと思っている。


 俺が育った荒くれ者の多いでは敵無しだったし、実際に複数の魔物と1人で戦っても負けなかった。


 十分、冒険者としてもやっていけるだろう自信もある。


 それもこれものお陰だ。


 加護とは神様が与えてくれる力で、それがあると才能が伸びやすいとされている。


 大概の人は加護を授かっている。


 俺の加護は誰も見た事がないらしく──前衛系、後衛系、生産系にも当てはまらない特殊な加護だ。


 俺の加護は──



祝福ログインボーナス



 これは1日に1回、神様から何かしらの贈り物が貰える。


 具体的に言えば武具、魔道具、食料、アイテムとか──


 それに、たまに不思議な物──というのが貰えるのが嬉しい。


 これはとても便利で戦闘の才能が無い俺が、それなりに戦えるのはこれのお陰だったりする。


 これがあったからこそ──


 力が全くない俺でもスラム街で生き延びる事が出来た。



 他にも冒険者の登録時に新人冒険者としては破格の強さだと試験官に言われ、将来は高ランクだって夢じゃないと受付嬢にも太鼓判を押された。



 さて、ここで俺が冒険者を目指した理由だが──


 冒険者なら街から街への移動も容易だし身分も保証されるからだ。旅もしてみたいと思った。


 そして1番の理由は──昔、俺がまだスラムに住む前、5歳頃に俺を救ってくれた通りすがりのSランクパーティに憧れたからだ。


 俺も助けられたように人助けをしてみたいと思ったのもある。この世は恵まれない人で溢れているからな。



 そして、俺は今──憧れのSランクパーティが拠点にしている街に来ている。



 冒険者ギルドでその人達の情報を集めようとすると、中は閑散としていた。


 受付嬢に理由を聞くと『街の近くで大規模な魔物の群れが発見されて、ほとんどの冒険者がこちらに向かってくる魔物の対応に追われている』と言われた。


 俺の憧れのパーティである『鉄の処女アイアンメイデン』が元凶の対応するらしいが討伐ランクS級の魔物が多くて旗色は悪いようだ。


 俺も討伐隊に参加する旨を伝えるが、低ランク冒険者はもしもの時の為に住人の避難と護衛しか出来ないと言われた。


 参加する為になんとか粘り強く聞くと──


鉄の処女アイアンメイデン』が実力があると認めてくれるなら参加しても良いと言われた。



 拠点を教えてもらって、即座に向かう事にした。



 別に会えるだけでも問題ない。一度は会っておきたい理由もあるからな。



 それに実力を認めてもらえれば、他の高ランクパーティの戦いを近くで見れるから勉強にもなるし、もしかしたら正式なメンバーの勧誘だってされるかもしれない!


 そんな気持ちを抱きながら俺は『鉄の処女アイアンメイデン』の拠点に足を進める──



 到着すると──


鉄の処女アイアンメイデン』のリーダーである魔法剣士のリーシェさんの姿が見えた。

 金髪で碧眼、はち切れんばかりのおっぱいの持ち主だ。


 この人の二つ名は確か──『金獅子』だったはずだ。


 鋭い眼光で俺を見て来ている。


 目力が強くて少し怖いが、凄く美人だな……。


 それに昔に見た時から姿が全く変わってない。


 だって俺が助けられたのって10年前だぜ?


 人族じゃないのかもしれないな。


 人族なら皺の一つぐらい増えてもおかしくないだろ……肌なんか艶々だぞ?



 更にキッ、とリーシェさんに睨みつけられた俺は思考を止める。殺気も乗せられているな。


 乙女の勘は怖いな……乙女と呼ばれる歳かはわからんが……。


 いかんいかん、恩人に失礼な事を考えてはダメだ。


「すいません、討伐隊に入りたいんですが──」


 俺は何事もなかったかのように話しを切り出し、冒険者カードを提示するとリーシェさんが口を開く──


「Fランク──新人か……次の依頼は大規模な魔物の討伐だぞ? 低ランクは確実に死ぬぞ?」


 冷たく突き放すように俺にそう言う。



「…………」


 俺は沈黙する──


「それに討伐ランクS級が複数いる。お前が生き残れる保証は無い。死にたくなければ──ここから去れ。私達が求めているのは覚悟のある強者のみだ」


 威圧されながら言われ、俺は少し足が震えるが──



 当然ながら、まだ帰る気は毛頭無い。

 何よりを言えていない。


「わかりました……一言だけいいですか?」


「なんだ?」


「昔──ドラグ村で俺を助けてくれてありがとうございましたッ!」


 ──やっと、言えた……。


 あの時はお礼なんて言える余裕なんかなかったからな。母さんや父さん──村の皆が俺を残して死んじゃったしな。


「──あぁ……見覚えがあるとは思っていたが、……大きくなったな……。せっかく生き延びた命だ。尚更、大切にしろ」


 少し笑ってくれたような気がした。その笑みはとても優しい。


 しかも俺の事を覚えてくれた事に少し感動した。


 だが、俺もまだ引き下がるつもりは毛頭無い。



 噂でしか、この人達の事を知らないが──


 かなり武闘派で有名だ。


 ダメ元で俺の実力をこの機会に見てもらうつもりだ。実力を認めてもらえば討伐隊に入る許可をもらえるかもしれない。


 許可がもらえなくても、俺の実力が憧れの人とどれぐらい離れているのかぐらいは──


 確認したいッ!



「模擬戦をお願いします」

「やるだけ無駄だろう……──?!」


 俺はリーシェさんが、やれやれと目を瞑った瞬間に『隠密』『気配遮断』スキルを使ってリーシェさんの背後に移動するが──


「──甘いッ! だが、中々やるじゃないか……」


 裏拳を顔面にくらい吹き飛ばされる。


 リーシェさんには全く通用しなかった。


「いつつ……」


 まぁ、俺って世間では新人だしこんなもんか……というか手加減されてるんだろうけど、顔面が陥没するかと思ったんだが!?


 あまりに力が離れすぎて自分が強いのか弱いのかわからない……。



「俺は──弱いですか?」


「──まぁまぁだな。気配の消し方は見事だったが、動きが遅い。勘の鋭い奴と相対したら間違いなくやられるだろう」


「そう、ですか……」


 やはり俺はまだまだなんだな……。


「──だが、既にお前はCランク冒険者ぐらいの実力はあるように思う。気配の消し方はかなり優秀だろう。このまま精進すれば──AかBランクぐらいにはなれるかもしれんぞ?」


 マジか……Cランクと言えば冒険者として一人前のランクだ。

 俺って今でも相当強いんだな……なんかそれを知れただけでも満足だな。


 それにリーシェさんの気遣いがとても嬉しい。


 それに俺のプレゼンは終わってない。ここで本題に入らせてもらおう。


「……ありがとうございます。そういえば今回の任務はそれなりの人数で挑むんですよね?」


「そうだな……私達はボスを叩くが、魔物の殲滅は冒険者と兵士が行う事になる。総勢1000人ぐらいで挑むだろう」


 ボス戦は無理でもCランク相当であれば雑魚ぐらいなら俺でもなんとかなるだろう。ギルドでは低ランクは参加不可と言われたけど、リーシェさんの許可さえ貰えれば討伐隊に参加出来る。


 その為の切り札を切る──


「荷物持ちはいりませんか? こんな事出来るんですよ。ただ低ランクは参加出来ないのでリーシェさんが推薦してくれると助かります」


 俺は近くにある岩や物を次々と『無限収納』に放り込んで行く。俺の持っているスキルで唯一ユニークスキルと書いていた。


 収納魔法とかあるが、それよりも容量も大きく性能が良い。中身は腐らないしな。


「──!? それはどれぐらい入るんだ?!」


 実は冒険者でこれ系の能力持ちは少ない。持っている人は大体需要の高い商人になっている事が多いからな。


「さぁ? 一度試した時は池の水を全て収納出来ましたよ? これなら物資の運搬も問題ないと思います」


「…………わかった。お前の名前は?」

「──エルクです」

「エルクか……あの動きなら自衛ぐらいは大丈夫か……補給部隊なら有りだな……他に特技はあるか?」

「少しでも役に立てるなら是非ッ! 他は敵の位置を把握するのが得意ですッ!」

「わかった。ではお前を採用するようにギルドに報告しておく。出発は明後日だ。それまでに準備を整えておけ──」



 その後は地獄だった……補給部隊だから戦う事は少ないと思っていたのだが──魔物が多過ぎて数日間、死に物狂いで戦闘から生き延びた。


 そして、戦闘の終盤はボスが見つからない為に急遽斥候が必要となり──


 1番気配を上手く消す俺がリーシェさんの推薦で共に行かされ、ボスを索敵した。


 俺のプレゼンは効果があったようだ。



 まぁ、トラブルもあったがボスも倒してではあるが、奇跡的にパーティに入る事に成功した。


 あまりの死闘に死ぬかと思ったけどな……。



 ────


 ────────


 ────────────



 ……懐かしいなぁ……あれから1か……。


 今ではパーティ名は『慈愛の誓い』に変わっている。


 これは男の俺がパーティに入った事も関係しているが、実はあの時の死闘でトラブルがあったからだ。その事はまた機会があれば語ろうと思う。


 まぁ、周りから見れば俺は順風満帆に見えるし、メンバー皆が美人ばかりだし、ハーレムパーティで羨ましいだろう。


 実際、エロいハプニングも多かったしな。



 まぁ、今では俺もリーダーであるリーシェさんに言われた通り──


 つい先日、Aランク冒険者になる事が出来た。


 最年少の上、最短記録らしい。


 この間の依頼で偶然活躍したからな……。


 ぶっちゃけると──なりたくもないランクになってしまった……しかも『先見』とかいう二つ名付きで……。


 先見とは先を見通す力がある事を指すらしい。



 ちなみに俺にそんなものはないッ! 偶然の成り行きだッ!



 それにな……俺の強さはあの頃ままだ。冒険者ランクの強さで言えば──Cランクのままだ。


 だからこそ断言出来るッ!


 決して強くなっていないとッ!


 強力なスキルが来ることを切に願った1年ではあったが、来たのは『指揮』『忍び足』『回避』『見切り』『体力自動回復』『魔力自動回復』などの敵を攻撃しない系のスキルばかりだった。


 まぁ、生き延びる術は得られたがな……しぶとさだけはAランクだろう。


 一応、『剣術』も手に入れてはいるが──


 パーティメンバーと模擬戦をしたらボコボコにされた。


 もはや、 Sランクパーティに居続けるのは無理だろうと諦めた瞬間だったな……優れた戦闘用の恩恵というのはスキルを凌駕している。


 だから、俺のAランクはランク詐欺だと声を高らかにして言いたいッ!



 人は分相応に生きるのが1番だと、この半年程は常々思っていた。




 何故、こんな事を考えていたのか?



 それは──



 現在、目の前には最強種の一角であるがいるからだ。



 危機的状況で昔を思い出して現実逃避していた。



 俺の後方に兵士や冒険者もいるが──



 心強い『慈愛の誓い』のメンバーはおらず、俺1人だ。



 これは俺がパーティから為に、この間、高難易度の依頼を達成した祝いで旅行を提案して皆を無理矢理行かせたからだったりする。


 俺は1人の時間が欲しいと断り、計画を実行しようとした。


 しかし、久しぶりの1人の時間を満喫し過ぎた……もっと早く行動に移せば良かった……まさかパーティの脱退申請してる時に街がドラゴンに襲われるとはな……冒険者の引退手続きまで出来なかったぜ……。



 今日はとても良い物が【祝福ログインボーナス】で当たって浮かれていたが、一気に冷めた……。



 あぁ〜早くこんな日常から解放されたい……。



 そんな事を考えていると後ろから大声で声をかけられる──

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