もしもし、私、メリーさん。今、南極にいるの
達見ゆう
メリーさんはある日突然に
俺のスマホに見知らぬ着信があったのは二週間くらい前だ。
「もしもし、私、メリーさん」
「あいにく俺に電話してくる女はおかんしかいない。イタ電なら切るぞ」
「待って! 私、本物のメリーさんよ!」
「じゃあ、どこにいるんだよ。言っとくがここは小笠原だから駅は無いぞ」
「し、昭和基地にいるの」
「イタズラにしてはツッコミどころ満載だな」
「あ、あなたの島に行こうとしておがさわら丸に乗ったはずなのに、何故か小笠原より南へ行ってしまって」
「お前、間違えて横須賀行っただろ。それは南極へ行く『しらせ』だ。おがさわら丸は竹橋ふ頭」
「と、とにかく切るわよっ!」
勝手に逆ギレしてガチャ切りされてしまった。ドジっ子にしてはかなり致命的な呪いの人形だ。よくわからんが、コロナの影響もあって観光ツアーもないし、大人しく帰りのしらせに乗って日本に帰るしかないが多分数ヶ月先だろう。
それまで毎日着信が来るのか? しかも南極から出られないのに?
無視してもいいが、コロナ禍で退屈してたのでメリーさんの電話の相手をしばらくすると俺は決めた。
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