第22話 クラス対抗剣術勝負:CクラスVS Bクラス②

お互いに剣を構え、そしてすぐにアル・ファルカは動き出す。


「【風は妖精の如く舞え踊る】」


接近すると同時に、魔術を行使、自身のスピードを急加速させ、瞬時に背後をとる。

あまりの速さに少しだけ動揺する。

早いっ!!


・・・勇者スキル・自動反応・・・


瞬時にスキルが発動させ、反応する。

降り掛かる刃を剣で受け止めるが何か違和感を感じた。

するとアル・ファルカの左手からもう一本の剣が視界に映る。

加速するスピードの中、彼女はもう一振りの剣で攻撃する。

俺は大きく背を曲げる。


「…ぅ…」


ギリギリで避けることに成功はした、だがすぐに次の攻撃がくる。

アル・ファルカは双剣を構え、二振りの剣から魔力の流れを感じた。

これは…まずい!!

しかし、ここから体勢を整える頃にはもう遅い…ならっ!!


「これで終わり…【天龍昇が如し】」


荒々しく魔力が剣に纏わり、それはまるで竜の姿を思わせる。

その猛攻は確実に肉を抉るように決まった。


「…ぐぅ…」


勢いよく後方に吹き飛ぶが、剣を地面に突きつけ、後方に飛ぶ力を減速させる。


「手応えがない…」


確かにあの攻撃は直撃した、だがそこで俺はあるスキルを発動させた。


・・・勇者スキル・攻撃無効・・・


あらゆる攻撃を完全に防ぐことができるスキルだ、ただこのスキルは1日1回しか使えない。


「流石に…今のは…ヤバかった」


これはいわゆる油断だ、だが、もう油断はしない。

とはいえ、相手がかなり強い、戦っている感じ、戦闘慣れもしている。

それに双剣使いか…わざともう片方の剣を見せなかったのも策略だな。

どうやって勝つ、見た感じ隙も一切ない。

するとアル・ファルカはゆっくりとこちらに歩み寄る。


「さっきの、どうやって防いだの?」


突然、アル・ファルカは話しかけてきた。

少し動揺したが、俺はその話に合わせることにした。


「はは、知りたいか?」

「うん、すごく知りたい!興味がある!」


おお、急に食いつくな。


「俺に勝ったら、教えてやるよ…」

「言ったね…約束だからね」


アル・ファルカの声のトーンが上がる。


「ああ、男に二言は無い」


アル・ファルカ再び構える、ここからが本番だ。

さっきみたいな、スキルはもう使えない。

魔術行使による急加速、それに合わせた合わせた双剣による攻撃、勇者スキル・自動反応じゃ、対応しきれない。

正直、このスキルは次の時のためにとっておきたかったけど、仕方ない。


・・・勇者スキル・限界突破【第一段階】・・・


魔力が膨れ上がる、神経の隅々まで魔力が循環する、感覚が繊細になっているのがわかる。

久しぶりに使う、けどここまでしないと今の俺では彼女に勝てない。


「すごい…」


アル・ファルカは驚きの連続であった。

決まったであろう、猛攻を防ぎ、そしてさっきまで勝てるという自信、いや確信があったのが急に強敵だ、気をつけろと脳内が信号を発している。


「…いくぞ」


今の俺だと3分しかこのスキルを維持できない。

3分以内に決着をつけるしかない。


「いくよ…【風は妖精の如く舞え踊る・妖精は嵐のように荒々しい】」


急加速による急接近、双剣の猛攻が繰り出される。

ギリギリで避けると剣に触れてもいないのに頬に傷ができる。

よく見ると双剣には風が纏っており、風が小さな刃になっていた。


「…嘘だろう」


これじゃあ、いくら避けてもダメージが蓄積される。

魔術と剣術のメリットを理解し、しっかりとこなしている証拠だ。

やっぱり魔術をもう少し勉強しておくべきだったかもしれん。

しかし、最初っから剣術で勝負するつもりはない。

次々と繰り出される攻撃、俺はわざと避けるのではなく、少しずつ、アル・ファルカとの間合いを詰めていく。


そんな中でアル・ファルカは焦りを見せ始めた。

当たらない、当たらない、それどころか、どんどん間合いが詰められていく。

本来なら間合いを詰めるということはより早く、攻撃が当たりやすくなるはずなのに、全く当たらない。

けどなぜ、全く攻撃しない?すでに攻撃範囲内には入っているはずなのに、全く攻撃してくる気配がない。

そしてついに俺は仕掛ける。

俺は持っている剣を空中に投げる。


「…え」


あまりにも予想外の動きにアル・ファルカは一瞬、思考が、動きが止まる。

その瞬間、俺は彼女の双剣を素早く手で掴んだ。


「…な、何をして!!」


アル・ファルカの双剣には常に魔術がかけられている、手で掴んだら、手がボロボロになるのは目に見えている。

だが、彼は全く離す気配がない。


「知ってるか、いくら魔術ができても、いくら剣術ができても、剣がなければ、ただの人だ」


特に剣術に全てをかけているやつとかな。

俺は今ある全ての力を手にこめる。

本来なら絶対に剣を砕くことはできないだろう。

だがそれを可能にするのが勇者スキル・限界突破だ。

勇者スキル・限界突破が発動中は痛覚無効のスキルが強制的に発動する。

だからあとは、できる限りの全ての力をここで使うだけだ。

双剣が少しずつ、、ひび割れていく。


「くっ…はなせ…」


彼女は俺の手から双剣を抜くことができない。

そして、彼女は双剣から手を離すこともできない。

だって双剣を手放すということは負けを認めたようなものだ。

そしてついに、双剣が俺の力に耐えれなくなり、砕け散る。

そして空に投げた剣が、そのまま俺の手に剣が収まる。

いいタイミングだ。


「俺の勝ちだ…アル・ファルカ」


そして俺はそのまま剣をアル・ファルカに向けて振り下ろした。





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