第21話 クラス対抗剣術勝負:CクラスVS Bクラス①

作戦決行の日、ついにこの時が来たのだ。

念入りに下調べを行い、生徒全員の評価を確認し、それに合った人選を行い、仲間を集めた。

あとは、簡単だ。

この私自ら、星波麻那を殺すだけ、簡単な仕事だ。

失敗するはずがない、失敗するわけがない。


「ふふ、影の王に誓い、必ずや…成功を収めてご覧にいれましょう」


学園の監視も厳重だが、学園長は最大のミスを犯している。

学園長らしくなく、少し警戒をしてはいるが、もう遅い。

もはや誰にも止められない。



クラス対抗剣術勝負・Cクラス VS  Bクラス


みんなが出番が何回戦目なのか興味はないが、まぁみんなが勝利するかは五分五分だろう。

俺は6回戦目だから、少し余裕がある。


「奈々は3回戦目か…」

「あ〜〜暇だな〜〜〜」

「お前、さっきまでの闘志はどこへいった?」


さっきまでテンションが高かった蓮也だが、燃え尽きたのか、くだらない言葉をボソボソと呟いている。

けどそれは生涯ないことだ、だって蓮也は今回、クラス対抗剣術勝負には参加できなかったのだから。


「しょうがないだろう…はぁ〜〜」

「まぁ、あれだ剣術勝負でも見て、自分の糧にしてろ…」

「そうだな…」


完全に闘志が失っているようだ。

仕方ない、ほっておこう。

蓮也と少し話していたら、気づけば、クラス対抗剣術勝負が始まっていた。

しかし、かわいそうだと思う。

DクラスとAクラスとは天と地の差があるほどの実力差がある。

これは教師の悪戯かもしれないな。


そして戦いは順調に進んでいく。

1回戦、2回戦は共にCクラスの敗北に終わる。

相手が悪かったな、だがまだチャンスはある。

ここからが本番だ。

次は3回戦目、奈々の出番だ。

対戦の相手はえ〜と真斗真人(まさとまひと)?誰だ?聞いたことがないな。

まぁ、奈々が負けるわけないか。


「奈々さん〜〜!!頑張れ!!」

「俺たちの仇を取ってくれ!!」


負けた二人は全力で奈々を応援していた。


「任せておいて!!チャチャっと勝っちゃうから!!」


両者ともに、舞台の上に立つ。


「それではお互い構えて!!、では……初め〜!!!!」


始まりの合図が聞こえた瞬間、相手は足を一歩踏み出し、魔力を練り始める。


「へぇ〜〜わかりやすい動き…一撃で決めるつもりなのかな?」

「ふん、小娘が…貴様なんぞ、一撃で十分…」

「舐められてるねぇ〜〜実に不愉快…」


・・・神速の構え・・・


姿勢を低くして、剣先を地面につける。

Bクラスが一撃に全てをこめているように、奈々は剣速に全てをこめている。

お互いに、隙を見せない、もはや、外から見れば、どちらが勝つかはわからない。

だが、この状態に持ち込んだ時点で、先に動いた方が不利である。

だからこそ、奈々は先に動く。

相手が瞬く瞬間、一気に間合いを詰め寄る。


「バカが!!終わりだ〜〜〜!!」


しかし、真人は瞬く瞬間に動くことを予想しその動きを見逃さなかった。

だが、忘れてはいけない、奈々の超人なスピードは一切、魔力を使っていないことに。

奈々はひそやかに笑う。


・・・無詠唱・【風よ纏え】・・・


風が奈々を中心に吹き荒れ、その風は奈々をサポートするように優しく、押し出す。

その瞬間、一気に奈々のスピードが加速する。

真人が剣を振り下ろす頃には奈々は背後を取っていた。


「なっ!何!!」

「残念…格が違うのよ、格が!!」


今、真人の背中はガラ空きだ、もはや斬ってくださいと言っているようなもの。


「私を舐めた罰よ!!」


・・・無詠唱・【炎】・・・

・・・火炎斬り・・・


剣に纏う紅の炎が、渦を巻き、風に乗せながら、相手が倒れるまで斬り続ける。

相手に回復する余地を与えない、相手に立つ余地を与えない、ただただ、斬り続けた。


「ぐはっ…」


そして真斗真人はそのままなすすべもなく気絶した。


「勝者!!Cクラス!!」


その声にCクラス全体が喜びの声で溢れた。


「大袈裟だな…」


奈々が負けるとは思っていなかったが、真人には同情するよ…本当に。


「えっへん!!私の実力を見たか!!」


奈々が完全に調子に乗っているが、たまにはいいだろう。

少しすると、奈々はこちら方に向かってくる。


「どうよ?勝ったよ」

「お前、今日はやけにテンション高くないか?」

「そうかな?まぁ最近、楽しいからかな?」

「そ、そうか、まぁあれだ…ナイス勝ち」

「うん!!ってあれ?蓮也は?」

「ああ、蓮也なら、トイレだと思うけど…」

「そうなんだ、じゃあ、私は蓮也にも勝利の報告をしに行ってくるよ!!」

「おう、気をつけてな…」


そのまま奈々は走り去って行った。

いや、本当に今日の奈々はテンションが高いな。

しばらく、ボーとしていると見慣れない、生徒を見かけた。

あれ?あんなやつうちのクラスにいたっけ?まぁいいか。

すると後ろから大きな声が近づいてくる。

俺は少し気になり、後ろを振り返ると…


「え?」

「そこを〜〜退いてぇ〜〜〜〜」

「ちょっ…」


そのまま勢いで真正面から衝突した。


「いてて…」


体全身に痛みを感じながら、目を開けると、特徴的な赤いロングの髪が視界に映る。


「ごめんね?私、今急いでるんだ、じゃあね!!」


そのままどっかへ行ってしまった。


「なんだったんだ、一体…」


運がない、…でもあの子、一体のどこのクラスの子なんだろう?制服は着てたし、もしかしたら先輩かもだけど…けどなんかどっかで見たことがある髪だったんだよな。

そんな感じで戦いは続いていき、なんとCクラスが連続で勝利を収めていった。

現在、Bクラス2勝:Cクラス3勝の状態、思った以上に順調だ。


「よし、次は俺の番だな…」

「絶対に勝ってよ」

「負けるなんて許さないぞ!!」

「ああ、全力は尽くす…」


ここで勝てば、さらにCクラスは有利になる、負けられないな。

舞台の上に立つと、そこには対戦相手のアル・ファルカがすでに舞台に立っていた。

黒い瞳に黒い髪、一見普通の生徒に見えるが、他の生徒にはない何かを感じた…


「よろしく」

「こちらこそ」


お互いに挨拶をしながら握手を交わした。

一定の距離離れて、始まりの合図を待つ。


「それではお互い構えて!!、では……初め〜!!!!」


こうして伯VSアル・ファルカの戦いが始まった。





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