第4話 新入生カリキュラム・終了
神白奈々は神谷伯にかなりの期待を求めていた。
諸事情があるとはいえ、初めて見た時の違和感、それが私の心を焚きつける。
体力測定も魔力測定もまあ、少しいいぐらいの普通の学生だった。
だから、こそ違和感を感じざる終えなかった。
彼は何を思って、ここで今、学生という檻の中の生活を送っているのだろうか。
魔法実技で使っていた、彼の魔術、一見はただ風を発生させただけに見えた。
だけど実際は違う、先生は気づいていなかったけど、的をよく見ると小さな、本当に1ミリもない小さな穴があった。
私はそこで核心に至ったよ、彼は「普通ではない」、「只者ではない」と、ただ彼は全くその本質を見せない。
何か事情でもあるのだろうか?私の同じように・・・
けど彼の力を確かめたいのは私の本心・・・だから剣術の実技で試そうと思った。
だって私の本分は剣術、真剣勝負は人を焚きつける。
たとえ、彼が力を隠したくてもだ。
「どうしたの?こんなのものな?伯くん?」
煽るように彼を挑発する。
「いやいや、君が強すぎるだけでしょ」
伯が持つスキルがこの世界では通用しないという仮説が生まれた今、俺は安易に動けない。
ひたすら避けて、隙をみてうまく負けるしかない。
しかし、避け続けるたびに、神白奈々の剣速が上がっていく。
それは尋常ではないほどに。
「なるほどね、私程度じゃ、本気を出してくれないと?」
「・・・え?」
「いいわ・・・」
神白奈々は剣の構えを変えた。
あれは・・・神速の構え・・・
剣先を地面につけ、自身の姿勢を低くする。
陸上で使われるクラウチングスタート原理はほぼ同じだ。
次の一撃は、どの剣よりも速い、どうしたものか。
・・・反射スキル・明鏡止水・・・
俺を目を瞑り、剣を構える。
神白奈々はその姿勢に驚きを見せる。
反射スキル・明鏡止水は自分を中心に半径5メートルの円を指定し、その範囲内に入った瞬間に反応できるだけのスキル。
これの弱点は自分自身が動けば、このスキルが解除されてしまうこと。
だが、どんな存在でも範囲内に入れば必ず反応できる。
だからこそ、神白奈々の次の一撃も反応できるって寸法だ。
伯くんが突然を目を瞑った。
普通なら、諦めたなどの考えが浮かんでくるだろうが、私自身の考えは違う。
伯くんから突然、目を離せなくなった。
体が、本能が彼から目を離してはならないと言っている。
突然、伯くんの雰囲気が変わったのだ。
そしておそらく、ここで決着がつく、そんな予感がした。
魔力が使えないは残念だけど、私はここで彼の本質を見抜いてみせる・・・彼の本気を・・・
彼女は一気に伯との間合いを詰める。
そして明鏡止水の間合いをに入る。
その時間、コンマ1秒もない・・・
俺は明鏡止水が反応した瞬間、そこで違和感を感じた。
反応が二つある?
しかし、俺はすでに動いていた、もう自分で止めることはできない。
そして何かぶつかる音がこの部屋全体に響き渡る。
俺と神白奈々はある一点を見つめていた。
「そこまでじゃ、少しやりすぎかの」
「だ…誰?」
「ほほほ、わしを知らんのか、わしも十分有名になったつもりなんじゃが・・・」
すると先生が大急ぎでこちらに向かってきた。
「こ、こ、これは…学園長!!」
「ふむ、少し見学していたら、ただならぬ気の衝突を感じたものでな、無粋ではあるが止めさせてもらったわい、はははは」
「本当に学園長の手を紛らわすとは、私の不注意でした」
「別に良いわ、気にすることではない、それにわしは嬉しいぞ、こんなにも優秀な生徒がCクラスにいるとは、これはBクラス、Aクラスが楽しみじゃわい、ほほほっ…おっと、そろそろ時間かのう、優秀な生徒達よ、日々励むのだぞ」
そう言って学園長は去っていた。
指一本で止められた、しかもあの1秒もなかったあの空間に入って止めるなんて、相当な化け物だな。
まぁ、けど助かったわ、下手に負けるよりはマシだし。
俺は膝をついてほっとしていると神白奈々が近づいてきた。
「なんだよ・・・」
「今回は引き分け、次は絶対に勝つわ、次は魔力ありでね」
「なんか勘違いしてないか?俺はそこまで強くないぞ?」
「そうね、今はそういうことにしておくね」
今までに見たこともない無垢な笑顔を向けてくる。
「めんどくせぇ…」
「なっ!めどくさいってひどいな・・・あっ!そうだ、今度一緒に美味しいご飯を食べましょ、約束ね」
「おい、勝手に…」
「じゃあ、私は先に戻るから」
「女ってこんなにめんどくさかったけ…はぁ〜〜」
こうして、気づけば、剣術の実技のカリキュラムが終わった。
本当に長い1日だった。
「総合評価は明日出るらしいぜ」
「そうか・・・で楽しかったか?女の子達に囲まれて」
「そう、怒んなよ、俺たち友達だろう?」
「はぁ〜〜」
そもそも蓮也と組んでさえいれば、神白奈々と組むこともなかったし、学園長とも関わることもなかった。
そう思うと、なぜか少しだけこいつに怒りが・・・。
こうして学園生活1日目が終わった。
剣王寝室
ただ剣を見つめる。
何も思わず、何も考えず、ただ見つめるだけ、そんな中、扉が開く音が聞こえた。
「何かよう?」
「ほほ、そう警戒なさるな、見てきましよ、神谷伯くんを…」
「そう、まぁ…あなたのことだから、確認するとは思っていたけど…で?どうだった?」
「正直言って、測れんかったわ、ただ…相当な実力はある、それだけは確信できたわ、なんせ奈々ちゃんといい勝負しておったからな」
「そう、けどそれじゃあ、ダメ…神白奈々ぐらい楽々と勝ってもらわないと」
「ほほ、しかし、まだ一年生、3年後には相当化けておるかもしれん…」
「そうね…ただ、そう長く待てくれないかもしれないわ」
「ほう?それは一体…」
「現王が動いたらしいわ」
「ほほ?それはまた人波きそうじゃな」
「ええ、もしかしたら…」
「おっと、そろそろお暇しておこうかの…」
そう言って学園長は剣王の寝室を去った。
「彼もなかなか食えない男ね、いくら努力しようとも私たちを超えることはできないというのに…」
「神谷伯…あなたは必ず、私の剣で葬る」
ある一室
「はい、問題ありません、引き続き、監視を行います」
久しぶりの外、とても新鮮だけど、心が休まることはない。
私に休まることなど許されない、私はただ与えられたことを実行するのみ。
「しかし、少し誤算でした、まさかAクラスに配属されることになるなんて…」
窓の外を見つめる。
静かで平和な空間、この外には魔物達が蔓延っているというのに。
「はぁ、こんな世界、壊れて仕舞えばいいの」
そんな言葉がポロッと口に出てしまった。
それに気づいたのか、口を手で押さえる。
「私は何を言って・・・」
自分でも驚いた。
そして今の自分の服装に目を向ける。
「制服というものまた新鮮・・・少しだけメイド服が恋しいですね」
名残惜しい表情を表す。
彼女にとってこの学園生活はあまりにも眩しすぎた。
それから一年生のカリキュラムは淡々こなしていき、一年生とって初めての二日間の休日が始まろうとしている。
神谷伯は自室である準備を行なっていた。
「これでよし!」
最低限の荷物をまとめた。
その時間は夜の9時。
「いざ!魔物がいる魔鏡の森へ!!」
そう俺は今から魔鏡の森に行くのだ。
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