第7話
黄色い光が弾け飛んだ。風が耳元を幾筋も切り裂いていった。
死んだ、と思った。
けれども、爆発が収まった中で僕は生きていた。
「ウズラ!」
「ボク、しっかり守れたね」
盾を構えたウズラは誇らしげに笑った。
「おいらもだぞ!」
スターの声が響く。少し前方に、魔法の壁ができていた。それが爆発の威力を和らげたのだろう。
ミミズの姿は跡形もなくなっていた。僕らは、しばらく無言で立ち尽くすしかなかった。
「主、進もうぜ!」
最初に口を開いたのは、スターだった。
「うん、ボクも頑張るから」
「気にするな。元々おいらたちはそういう存在なんだ」
二人が、歩き出した。僕は、すぐに追いかけることはできなかった。
「もうすぐだ」
またミミズが出てきたらどうしようかと思ったけれど、それは大丈夫だった。あれだけ大きなものだから、魔法使いもそうそうは生み出せないのだろう。スターの魔法で穴を大きくしながら、僕らは敵の巣を侵攻していった。
見かけるのは普通の働き蟻ばかりだった。他の戦力はおとりのキノコ兵たちのところに行っているのか、元々そんなにいなかったのか。
もうすぐ、女王様の部屋にたどり着けるはずだ。
「いよいよだねえ。どんな人かねえ、女王様は。おいらわくわくしちゃうな」
「ボクも楽しみ」
幾つもの部屋を通り過ぎ、ついに大きな穴の前にたどり着いた。久しぶりだ。元々ここは僕ら一族の巣であり、敵に奪われた。僕はかつて、ここで生まれた。そして将来の女王様の夫候補として、育ってきたのである。
女王様と結ばれることはなかった。けれども僕は今でも、女王様を敬愛している。
魔法の力を得たことで、助けに来ることができた。キノコ者たちは本当によく頑張ってくれた。
「さあ、行こう」
僕達三人は、その部屋へと歩みを進めた。
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